2016年3月6日開催 『通訳者・翻訳者への道in大阪』 アフターレポート

  • 2016.11.04 Friday
  • 18:19

大阪校のコースリニューアルを記念した特別企画として、大阪で初めて「通訳者への道・翻訳者への道」を開催しました。第2部は、長年、サイマル・アカデミー大阪校で日英翻訳コースを教えていただいている野口ジュディー先生の「翻訳者への道」です。

 

野口先生(サイズ調整済).png講師:野口ジュディー
サイマル・アカデミー大阪校で日英翻訳コース講師。ハワイ出身。
化学で学士を取得し、来日後、専門英語教育に興味を持つ。教育学修士課程、応用言語学博士課程修了。フリーで翻訳業をスタート後、理系論文の添削もしながら、現在は神戸学院大学グローバルコミュニケーション学部長を務める。

 

野口先生はハワイご出身の英語ネイティブ。セミナーは英語で行なわれ、第1部同様、サイマル・アカデミー修了生による同時通訳(英→日)付きでした。
今回は、先生の研究テーマであるESP(English for Specific Purposes)について、また、サイマルの授業でも教えているESPアプローチや、Corpusを駆使した翻訳についてお話ししていただきました。


ESP(English for Specific Purposes)とは
初めて耳にする方がほとんどかと思いますが、ESPとは「特定の目的のための英語」のことを指し、機械翻訳の指針にもなっているものです。例えば、大学病院に勤務している医師を例に挙げると、医師は論文や学会発表の資料を読み書きし、また日々進歩する医療・治療法を研究する研究者のネットワークの一員でもあります。そこにはひとつの共通目的をもった集団(ディスコース・コミュニティ)で使われる特定の英語が存在します。この「特定の英語」がESPです。

 

また、ひとつのESPの中にも、コミュニケーションの目的・用途によって様々なGenre(例えば、学術論文、取扱マニュアルなど)が存在し、そのGenre毎に繰り返し現れる言葉や表現、特定のパターンやルールがあります。

 

野口先生のESPとの出会いは、翻訳者として企業のアニュアルレポートの翻訳に携わった際、過去の文書の参考例や、国内・海外での他社事例を参考に「その業界でどういった言い回しをしているか」をリサーチし、社内で使えるフレーズブックや外部の翻訳者も使える専門用語集の作成に立会ったところからだそうです。
ESPはディスコース・コミュニティの環境の中で活動するために必要な言語で、翻訳はもちろん通訳を学ぶ人、ビジネスの分野で活躍する人にも重要であり、「学術的・理論的なだけでなく、実用的なアプローチ」だとおっしゃっています。

 

Genreの分析
効果的にコミュニケーションを取るためには、ディスコース・コミュニティの中にどのようなGenreがあり、それぞれにどのような特徴があるかを理解することが重要です。

 

セミナーでは、Genreの特徴を理解することが重要ということで、ひとつの例をあげて説明をしていただきました。
今回は「取引会社への販売価格改定」のビジネスレターを例に、日本語版と英語版の2種類を横に並べ、時候の挨拶、価格改定の本題、その理由にあたる部分を色分けし、順序や分量を比較しました。

honyaku_1.png


 日本語版には時候の挨拶などの“Politeness expressions”が多く、英語版は“What?” “When?”が最初に来るなど、情報の順序や情報量の点で文書の作りに大きな違いがありました。つまり、Genreの特徴を反映せず、単に機械的に翻訳するだけでは、本来の目的(この文書の場合は価格改定の了承、および取引の継続)が達成できない可能性があると考えられます。

 

Corpusの薦め
翻訳者としてGenreの特徴を理解することは重要で、その為には自分でCorpusを構築することが大切だと野口先生はアドバイスされています。Corpusとはテキストのデータベースのことです。セミナーの中で先生はAntConcというソフトを使用し、データベースの中から様々な用語の使い方を探すデモンストレーションをしてくださいました。

honyaku_2.png

 
皆さんも使い方に迷う“such as”と“like”の良く似た表現や、“however”のセンテンス内での位置などをCorpusで検索した結果も発表され、使用される分野によって使い方が異なることを実際の画面で見せていただきました。また、コロケーション(“heavy rain”などの正しい単語の結びつき)を勉強するという意味では、Corpusは翻訳者だけでなく通訳者をめざす方にもぜひ使ってもらいたいツールだとおっしゃっていました。

 

良い翻訳をするための“OCHA”
野口先生は、普段クラスで“Observe/Classify/Hypothesize/Apply”が大切だと生徒さんに言っておられるそうです。その文章が「何の目的で、誰のために書かれているのか、どういった情報がどのような順序で出てきているのか」をよく観察して翻訳し、翻訳をしたら声に出して読んでみて表現を確認することも大切だとおっしゃっていました。


日本人にとって日英翻訳はハードルが高いと思われがちですが、野口先生のお話にあったESPアプローチで、使えるものをフル活用することによりハードルが下がるのではと感じました。また英文ライティングにも活かせるESPアプローチをもっと多くの人に知ってもらえればなとも思いました。

 

えんぴつ サイマル・アカデミー大阪校 翻訳者養成コースについて

旗 これまでの「通訳者への道・翻訳者への道」セミナーはこちら

 

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