「の」の有無
- 2011.01.12 Wednesday
- 19:08
BY三木俊哉
以前、「を」の有無について、ここで考察(というか煩悶)したことがある。たとえば「散歩をする」なのか「散歩する」なのか――。で、今回は「の」の有無である。さっそく次の例をご覧いただきたい。
1. (a) アフガニスタンの歴史 (b) アフガニスタン歴史
2. (a) アフガニスタンの略史 (b) アフガニスタン略史
1の場合は(b)だとなにかヘンだ。でも、2の場合は(a)も(b)も許せるような気がする。なぜか? わからない。「を」の有無のときは、あってもなくてもよさそうで悩ましかったのだが、今回は、「の」がないとヘンだというのがあって、それが1(b)である。でも、2(b)はなぜか問題なさそうである。次はどうか?
3. (a) 仕事のスタイル (b) 仕事スタイル
4. (a) 業務のスタイル (b) 業務スタイル
これも3(b)だけがヘンではなかろうか。さっきは前半の「アフガニスタン」が共通で、今度は後半の「スタイル」が共通。いずれにせよ、ひとつだけ不自然なのである。共通部分はべつにカタカナでなくてもかまわない。
5. (a) 病気の対策 (b) 病気対策
6. (a) 疫病の対策 (b) 疫病対策
やはり5(b)がなんとなく妙な気も。なぜだろう? でも待てよ。「バラの病気対策」だったら大丈夫そうだ。3(b)も「私の仕事スタイル」だったら許せそうな……。
ではしかし、1(b)はどうか。「アフガニスタン歴史」が許せる文脈があるか? 「アフガニスタン歴史探訪」とかだったら、NHKの番組タイトルでありそうだ。う〜ん、だからどうなのだろう。なんだか、そもそもが有意義な発問ではないような気もしながら、日は暮れてゆきます。
プロフィール
三木俊哉
企業勤務を経て、主に産業翻訳(英日・日英)に従事。
訳書に『アル・ゴアからのメッセージ』、『完全網羅 起業成功マニュアル』
『スティーブ・ジョブズの流儀』など。
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