2018年2月25日開催 英語「通訳者への道」アフターレポート

  • 2018.05.18 Friday
  • 13:52

2月25日(日)に行われた「通訳者・翻訳者への道」セミナー。第3部は、会議通訳者でありサイマル・アカデミーの講師も務める高畑美奈子先生が登壇されました。内容は、記憶に新しい平昌オリンピックでの通訳の仕事について。通訳者をめざす人にとっては関心の高い話題で、「オリンピックでの通訳に興味がある人パー」と呼び掛けると、参加者のうち約3分の1の手が挙がりました。ここでは当日の内容を一部紹介します。

 

第3部 英語「通訳者への道」

 

講師:高畑美奈子


○たかはた・みなこ 上智大学外国語学部英語学科卒業後、TBSに就職。報道および情報番組の記者として、外信部やNY支局勤務。退職後、サイマル・アカデミーを受講し卒業。現在フリーランスの通訳者。得意分野は外務省関連、労働関係、IR等。 

 

 

|「縁の下の力持ち」―オリンピックでの通訳の仕事について


オリンピックでの通訳の仕事というと、たとえば記者会見で有名選手の横について通訳をする姿を思い浮かべる人は多いのではないでしょうか。実際のところ、有名選手と仕事をする機会はほとんどないそうです。むしろそれ以外の大会準備や大会期間中の運営における通訳が多く、その部門はオリンピック全体で52種類にも及びます。たとえば、宿泊、放送サービス、交通、エネルギー、開閉会式、ドーピング検査、会場・インフラなど。通訳者はまさに競技の裏側を支える「縁の下の力持ち」といえます。

その各部門にて、会議(逐次通訳*/同時通訳*)や視察(ウィスパリング*/逐次通訳)、記者会見、レセプション、オブザーバープログラムなどの通訳を行います。今回の平昌オリンピックの期間中、高畑先生は現地でそのオブザーバープログラムの通訳に携わっていました。オブザーバープログラムとは、国際オリンピック委員会(IOC)が将来のオリンピック開催国や候補地の担当者に、その年の開催国が準備・運営している様子を実際に見てもらうプログラムです。

 

平昌オリンピックでのオブザーバープログラムは何か国もの担当者が同席することもあり、たとえば最初に韓国語→英語に訳し、それを別の通訳者が英語→日本語に訳すという「リレー通訳」の手法が用いられたそうです。屋内・屋外を問わない現場で、屋外の場合は川が凍るほどの寒さ。上下とも十分に着込み、聴診器のような形の簡易型通訳機材を使用しながら現地で奮闘する通訳者の方々の姿がスライドに映されていました。

 


 

 


*通訳の種類。たとえば「逐次通訳」は、話者がある程度まとめて話したものを整理して後から訳すこと。それぞれの通訳の種類について知りたい方はこちらをご覧ください。(サイマル・アカデミー コンテンツ「SIMUL CAFE」に移ります)

 

 

|日々の積み重ね


オリンピックでは、組織委員会から組織の名前やオリンピック独特の用語を説明した、100ページ近くにも及ぶ単語帳が通訳者に共有されるそうです。スポーツを始め、交通、エネルギー、医療など、部門の数だけジャンルも多岐に渡ります。にも関わらず、「たとえば来週どの分野を担当するのか、日にちが近付くまで分からない」ことに加え、「実際、その単語帳を持って会議に出席したとしても、その場で使うことはなかなか難しい」。それはあんまりでは、と思ってしまいますが、それでも最大限の準備をし、万全の態勢で臨むプロの仕事を痛感しました。

 

↑セミナー後に公開された、数十枚にも及ぶ高畑先生お手製の単語帳。

たくさんの参加者の方々が見て行かれました。

 

オリンピックに限らず、特定の分野に特化しないフリーランスの通訳者として活躍されている高畑先生の仕事内容は、普段からさまざまです。そのために、「日々アンテナを張り、勉強し続けることが大切」という言葉には説得力がありました。今回のセミナーでも事前に参加者の方々から質問をいただきましたが、中でも多かったのが「通訳者になるための勉強のコツ」について。これに対し、「実際はコツも近道もなく、とにかく毎日の積み重ねが大事。たとえば通勤・通学のとき、朝起きてから15分、就寝前の10分など、自分の生活に合わせて毎日学習し、続けること。」と回答しました。さらに、たとえばCNNを毎日観るとして、リアルタイムで観られない場合はポッドキャストで聞くなど、現代のツールを駆使した学習方法についても紹介していただき、「自分の生活に合わせた学習」の具体的な方法についても理解が深まりました。

 

 

明日の仕事が今日の続きならいいが、色々な分野の仕事があるので、今日は明日の分の勉強をしておかなければならず、毎日勉強が続いて行く。今通訳者になるための勉強を毎日続けらなければ、通訳者になってから続けることは難しい」。一見厳しい言葉のようですが、日々さまざまな仕事に携わり、オリンピックのような大舞台も影で支える姿を考えると、それほどの覚悟と努力が不可欠であることが伝わりました。

 

通訳者になる前は記者の仕事をしていた高畑先生ですが、通訳者になった今、仕事の醍醐味は「社会で起きていることと仕事が直結していること」と、「一方的に伝えるのではなく、言葉のキャッチボールの中に自分が介入していること」だそうです。通訳者になる前・なった後の厳しさと、国際社会における言語のかけ橋として活躍するやりがいを教えていただきました。

 

 

ご参加いただいた皆様、ありがとうございました嬉しい

2018年2月25日開催 中国語「翻訳者への道」アフターレポート

  • 2018.05.09 Wednesday
  • 12:10

2月25日(日)に開催された「通訳者・翻訳者への道」。第2部は、中国語翻訳者であり、サイマル・アカデミーの講師も務める眦塚技卆萓犬登壇されました。近年の中国語翻訳のマーケット事情や、学習する上で大切なこと等についてお話ししていただきました。

 

 

第2部 中国語「翻訳者への道」

 

講師:眦塚技


たかだ・ゆうこ 大学卒業後、商社勤務を経て、中国語通訳・翻訳業に従事。サイマル・アカデミー中国語翻訳者養成コースコーディネーター。桜美林大学非常勤講師、法政大学兼任講師を務める一方、実務翻訳者の後進指導・育成に注力している。

 

 

「好き嫌いなし」のスタンスが大切


来日中国人増加に伴い、ここ5年ほどはインバウンド対応が多いというお話から始まりました。ショッピングモールのパンフレットをはじめ、すでに来日したことがある「リピーター」観光客をターゲットにした、すし作り体験着物着付け体験などの日本語から中国語への翻訳で、そのジャンルは多岐に渡ります。

 

さらに、中国の市場に目を向けた企業からの依頼で、企業ホームページ契約書会社案内などの翻訳も多く見られます。また、中国語から日本語への翻訳では、中国(特に台湾)のオンラインゲームの翻訳が増加の傾向にあるそうです。

 

一方、従来から変わらないジャンルは、技術系の文書学術論文会議の資料講演原稿保険法律関係など。セミナーの第1部で、英語翻訳者は自分の強みである専門分野を身につけて仕事をしていくというお話がありましたが、中国語翻訳では比較的マーケットが小さいためか、「好き嫌いしていてはやっていけない」。どのジャンルにも対応できるようにするため、学習段階から「好奇心を持って様々な分野に挑戦する姿勢が大切」です。

 

 

学習を生活の一部にする


では、ジャンルを問わずに対応できる力は、どのように習得すればよいのでしょうか。学習する上で大切なことについて、次のことを挙げられました。

 

1)原文を速く正しく読む。

2)特に母語の語彙や表現を豊かにする。

3)時間を意識しながら学習する。

 

1)については「最も基本的で最も大切」なこと。締切がある仕事のため、限られた時間の中で高いクオリティの訳文を仕上げるには必要不可欠といえるでしょう。2)の具体的な学習方法は、「原文を漫然と読むのではなく分析しながら読む」。翻訳は「通訳と同じくらい語彙力が必要」というお話もありましたが、原文を読む段階から常に「どう訳すか」を意識することが重要なのだと感じました。そして3)については、実は「翻訳者になってからも活きる」こと。締切や訳す分量、ジャンルを見て引き受けられる仕事かどうか素早く判断するために、普段から時間を意識しながら学習することが大切だそうです。「引き受けるかどうかを判断するのは自分」という言葉から、自分の力量を把握していなければできない仕事だということが伝わりました。

 

ここで、眦沈萓犬桓身で毎日実践されている学習方法についても紹介していただきました。

まずニュースを母語である日本語で読み、その後、関連記事を中国語でも読みます。「面白い・知っておきたい」と思った記事をプリントアウトして、原文を見ながら声に出して訳していくという方法。

 

声に出して読む理由としては、「書くより速い」ことに加え、「声に出して訳すと訳せないところが明白になり、自分を誤魔化せない」から。原文を一読する時、内容について「「大体分かる」ことと「全部訳せる」ことは全く異なる」というお話がありましたが、声に出すことでその分からない部分が明らかになるそうです。

 

学習は、「普段の生活に組み込む」ことが重要とのこと。意識して「何曜日に何を何時間やる」と決めたりせず、食事や洗顔のように当たり前のことにするのがコツのようです。学習者の皆様もぜひ試してみてください!

 

セミナーの後半には、当日配布した課題を使用してミニレッスンを実施。参加者の皆様が真剣にメモを取る姿が印象的でした。ご参加いただきありがとうございました!

 


参加者の方々からいただいた質問と、それに対する眦沈萓犬らの回答をいくつかピックアップしてご紹介します見る

 

Q. 最近はインターネット上で安価に依頼できる翻訳の仕事があるため、わざわざ学校に行って勉強をしなくても自称翻訳者として仕事ができるのではと想像してしまいます。学校へ行って勉強した方が翻訳者として活躍するための近道になるのでしょうか。

 

A. 翻訳者には資格がないため、余計にそう感じてしまうのだと思います。スクールでは、どのような訳が求められ、評価されるかがすぐに分かるため、一定のレベルがあれば半年でもいいので通学することをおすすめします。また、同じ志を持った人が周りにいるということはとても心強いですし、励みにもなります。

 

Q. 中日翻訳の方が得意なのですが、中日に限定して仕事をすることは可能でしょうか。

A. 可能です。ただし、学習は中日と日中どちらもやっておく必要があります。翻訳者は翻訳だけでなくチェッカーの仕事もあり、中国語ネイティブが日本語に訳したものをチェックするのは日本人なので、そういう時に中国語の表現について判断ができないと困るからです。サイマル・アカデミーでもその状況を想定して、日本語ネイティブのクラスでは、日訳と中訳どちらも同じバランスで学習します。

 

たくさんのご質問をありがとうございました女

 

2018年2月25日開催 英語「翻訳者への道」対談 アフターレポート

  • 2018.05.09 Wednesday
  • 12:05

第1部「翻訳者への道」の最後は、パート1、パート2に登壇された成瀬先生と長島先生の対談が行われました。トピックは、産業翻訳と出版翻訳の違いや、仕事をする上での年齢制限はあるのかなど。当日の内容を一部ご紹介します。
 

パート3:成瀬先生×長島先生 対談!産業翻訳と出版翻訳の魅力

 

 

長島:まずは、産業翻訳と出版翻訳の違いについて。受講生の方によく聞かれるんですよ、「自分はどっちに向いているのか」と。この質問を受けた時、成瀬先生はどのように答えられていますか?

 

成瀬:財務諸表をよく知らないある受講生が居て、授業の3回目くらいの時に、転科を勧めたことがありました。「あなたはとても文章のセンスがあるから、こっち(産業翻訳)じゃなくて、長島先生の方(出版翻訳)に行った方が伸びますよ」って言って。後から聞いたら、彼女はその時非常に腹が立ったそうです。「捨てられた」「見限られた」と思ったらしくて(笑)。そこから、こいつを見返してやろうと思ったそうです。1年猛勉強したら、財務諸表すらすら読めるようになってましたね。「先生、二度と眼鏡違いをしてはいけませんよ」と言われました。というわけで、正直どちらに向いているかは分からないですね。

 

長島:私は、成瀬先生がパート1で仰っていたように、「やる気次第」だと思うんですよね。どちらに向いているかというより、どちらに興味を持って本気で勉強できるかを考えて選んでいただきたい。たとえば、「私は金融大嫌いです、勉強する気ありません」という人。それは私なんですけど(笑)、産業翻訳のクラスに行っても、半年しか続かないでしょう。だって興味ないんですもの。だけれども、興味を持てるようだったら本気で勉強する。それなら、今は何も知識がなくても続くと思います。

 

成瀬:両方できるっていうスーパーマンもたまにいますね。

 

長島:いますね。実際サイマルで講師をしていますから、会いに来てください。あと、勉強を始める年齢に制限はあるか、いつまで現役を続けられるか。これに関してはどう思いますか?

 

成瀬年齢は関係ないですね。スキルに関して言えば、ぐんぐん若竹みたいに伸びる人や、少しずつ伸びる人など伸び方に差はありますが、間違いなく伸びます。一番困るのは、「1年で翻訳者になれますか?」という質問。そういう人もいるし、3年かかる人もいるし、それはその人次第ですね。

 

長島:いずれにしても、勉強を始める年齢に制限はないですよね。

 

成瀬:はい。実際、定年退職してからサイマルに通学する方は多いですね。

 

長島:多いですね。「定年退職して時間ができたので、かねてから興味があった翻訳を勉強したいと思って受講しました」という方。しかも、経験豊富、知識もあるから、早い方だと1年から1年半くらいでプロになる方もいますね。いつまで現役を続けられるかについてはどうですか。

 

成瀬:私は少なくとも90歳まではやるつもりです。今63歳なんですけど、駆け出しだと思っていて、75歳くらいがピークなのかなと。まだまだ勉強することが尽きないので。

 

長島はい、頑張ってください。

 

成瀬:なんでそんなに冷たいんですか(笑)?

 

長島:定年はないと思います。気力のある限りだと思います。体力も必要だと思いますけどね。

 

成瀬:そう、体力。体力は本当に使いますね。

 

長島パート2で触れた菊池光は、亡くなる直前の85歳まで現役でした。翻訳という仕事が生きがいだからできたんだと今は思います。

 

成瀬:何歳までという発想はいらないと思います。生きてる限り現役

 

長島:同感です。先程パート1でもありましたが、翻訳業の将来についてはどうでしょう。自動翻訳やAI、今後の需要はどうなるのか。ご心配されている方も多いと思います。そのあたりはどうですか?

 

成瀬:産業翻訳に関していえば、激変期です。人工知能を使った翻訳が8割、残りの2割が人間翻訳で、それはこれからも変わらないと思います。今の翻訳事業の7~8割はなくなるんでしょうね。本当にできる人だけが残っていく

 

長島:出版翻訳でいうと、自動翻訳は全く使われていません。ですから、10年、20年は仕事があると信じています。ただ、自動翻訳もこれからどんどん良くはなっていきますよね。そのときに、自動翻訳と同等の翻訳しかできない翻訳者は淘汰されると思います。だって、安くできますから。人間にしかできない「心の翻訳」ができる人だけが残る。ただそのためには、それだけの力をつけなくてはいけない。ということで、サイマルで勉強しましょう(笑)!

 

成瀬:今の翻訳者が圧倒的に弱いのは、日本語の文章力ですね。

 

長島:英語のレベルが高い人は増えているんですよね。それに反して、特に日本語の文章力が下がっているのは、受講生の課題の訳文を見ていても時折感じますね。

 

成瀬:魅力のある良い文章を書いていただきたい。産業翻訳にとってはマストです。

 

長島:たまに、自分は文章力がないから産業翻訳をやりたいという人がいますが、それは間違いです。ノンフィクションでも産業翻訳でも、文章力は必要です。今後さらにレベルの高い翻訳が求められることを考えると、文章力を磨くというのはこれからますます重要になってくると思います。

 

成瀬:産業翻訳では、日英翻訳のニーズも高いです。英語が書けるというのはとても大事な能力で、英語がきちんと書けると、日本語もそれにひっぱられるんですね。だから日英翻訳もこれから頑張ってください。英日、日英どちらもできないと、産業翻訳の場合は生き残っていけないと思います。

 

長島:ひとつ聞きたいことがあるんだけど、翻訳をしていて、一番うれしいことは?少し明るい話題にしたいと思って。

 

成瀬:それは・・なんだろう。やってること自体ハッピーというか。長島さんも言ったけど、好きなんですよね。だから苦しくても毎日楽しいというか。

 

長島:うん。そうよね。菊池先生のこんなエピソードがあって。80歳過ぎた頃に、早川書房の編集者から「先生次はこんな本です」って新しい原書を渡されたんですけど、その時先生が、わーいわーいって手を挙げて喜んだのを見て、びっくりしました。100冊も200冊も訳してきた人が、また新しい本を受け取って、手を挙げて喜ぶなんてと思ったんですが、それほど好きだったんでしょうね。私はというと、自分の訳した作品を読んだ人が、ぞっとしたり怖がったり楽しんだり笑ったり泣いたり、そういう風にしてるかもしれないと思うと、本当に嬉しくなります。特に小説翻訳だと夢みたいなところがあって、このシーンでもしかしたら泣いてくれてるかな、と想像しながら訳すのが楽しいですね。

 

成瀬:お互い「楽しい」って言い合ってますね(笑)。

 

長島:はい(笑)。とにかく、翻訳が好きということですね。

 


将来的にますます質の高い翻訳が求められることの現実と厳しさが伺えた一方で、本人次第で生涯翻訳者として仕事をしていく力を身につけられるということと、お2人の翻訳が好きだという気持ちが伝わった対談となりました。当日お越しいただいたみなさま、ありがとうございました!

 

2018年2月25日開催 英語「翻訳者への道」アフターレポート

  • 2018.05.09 Wednesday
  • 12:00

「通訳者・翻訳者への道」セミナーが、2月25日(日)に開催されました。今回はセミナー始まって以来初の3部構成。第1部では、産業翻訳者でありサイマル・アカデミーの講師を務める成瀬由紀雄先生と、出版翻訳者であり同じく講師の長島水際先生が登壇されました。ここでは、第1部の内容を紹介していきます。

 

第1部 英語「翻訳者への道」

 

パート1:産業翻訳者への道


講師:成瀬由紀雄


○なるせ・ゆきお 商社勤務、高校の英語教師、編集業務などを経て、フリーランスの産業翻訳者に。サイマル・インターナショナル、タイムインク、大日本印刷などのクライアントを経由して官公庁、企業、大学等から多種多様な翻訳・人材教育・英文出版業務等に従事。2002年からはサイマル・アカデミー産業翻訳者養成コース講師。

 

 

やる気次第で道は開ける


成瀬先生が講師を務める翻訳者養成コースの最大の目標は、「生涯を通じて翻訳の仕事ができる翻訳力を獲得すること」。翻訳エージェンシーに登録することが最終的なゴールではありません。そのため、登録したその日から仕事ができるようなプログラムを提供しています。例として、一つの英文からいくつもの訳文を考えるトレーニングが挙げられました。訳文の選択肢を広げることで、「価値の高い」訳文を生む可能性を高めることが目的です。修了生の中には、翻訳者としてデビュー後、翻訳力の基礎を磨くために再び受講している方も。「学習」と「実践」を意欲的に往復することで、翻訳者になった後も翻訳力を伸ばし続けることができます。

 

また、多くの方が懸念する、今後の機械翻訳による影響についてのお話もありました。先生は、「機械翻訳を利用した大量処理案件」と「人間の手による高度な案件」に分かれていくと予想。特に前者は「翻訳市場の大半を占めることになるのでは」と予測しています。しかし、人工知能の発達によって「言語情報処理としての翻訳」、すなわち英文和訳が編集されたような翻訳が増加したとしても、その文章の本質を捉えた「心と心をつなぐ翻訳」は人間にしかできません。「人間の心を人間に伝えることができるのは人間だけ」という言葉には、深く納得させられました。

 

機械翻訳の影響に限らず、他にも年齢や経験、専門的な知識がないこと等を気にして、翻訳者になることを思いとどまる方は多いのではないでしょうか。しかし、これまで先生が受け持ってきた受講生は、70歳を超える方文学部出身で財務諸表という言葉も知らなかった方主婦や子育て中の方など実にさまざま。いずれも猛勉強の末に翻訳者になった方々ですが、少なくとも翻訳者への道の入り口は、年齢も知識量も経歴も関係ありません。本人のやる気次第で道は開けるということを教えていただきました。

 

 

 

 

 

パート2:出版翻訳者への道


講師:長島水際


○ながしま・みぎわ サイマル・アカデミーを卒業後、サスペンス、ミステリーを中心に翻訳を行なっている。サイマル・アカデミー翻訳者養成コース出版翻訳講師。訳書:コーディ・マクファディン「暗闇」、「戦慄」、「傷痕」、ノーラ・ロバーツ「真昼の復讐者」他多数。

 

 

翻訳との出会いと翻訳者への道


長島先生はサイマル・アカデミー修了生。翻訳者になる前は、大学などで英語の講師をしていました。職場の同僚に誘われてサイマル・アカデミーに通学し始めましたが、その時はまだ翻訳者をめざしていたわけではなく、「勉強してみようかな」という気軽な気持ちだったそうです。

 

そんな中、クラスで最初の課題が出されました。アメリカの投資銀行のエコノミストについて書かれたノンフィクションの翻訳で、先生の苦手な分野でした。あまりリサーチをすることなく提出し、添削付きで返却された「誤訳だらけ」の自分の原稿と、高評価だったクラスメイトの原稿を見比べて「唖然とした」と言います。英語が得意だと思っていたのは勘違いだったということに、その時気づいたそうです。

 

その後、「クラスで1〜3番くらいの成績になれるまでは頑張ろう」と一念発起。平日は仕事、休日はアカデミーという忙しい日々を3年半送り、ついに小説の翻訳をする話を、当時の講師である菊池光先生から持ちかけられました。その時手がけた本のジャンルは、数年前から好んで読んでいたという「ドロドロ・おぞましい系のロマンス」。430ページほどの分量を、半年近くかけて訳しあげました。やがてその本が出版された時の喜びは今でも覚えていて、「書店を3〜4軒回って訳書が平積みされているのを見に行った」そうです。

 

プロになるまでの、仕事をしながら学習を続けた3年半について、「大変ではあったが、勉強していくにつれて読解力や表現力が少しずつ伸びていることが分かった。それと、サイマルに通学して学習することが生活の一部になっていた」と振り返りました。だから続けることができたのだそうです。最後に、ゼロから翻訳者への道を進んだ先生は、「経験や知識は、最初はなくても大丈夫。でも、最初の一歩を踏み出さなければ何も始まらない。」という言葉で締めくくり、学習を始めようか迷っている方の背中を押しました。

 

 

 

 


セミナー後に取った参加者のアンケートでは、「学習に対する姿勢の大切さに気づかされた」という声が多く見られました。年齢や経歴、そして今後の重要など、不安に思うことはあるかもしれませんが、「最初の一歩を踏み出さなければ何も始まらない」ということと、「やる気次第」で力をつけていくことで、その不安要素を取り除けるということが参加者の方々に届いた回となりました。

 

パート1とパート2をそれぞれお送りしましたが、最後のパート3はお二人の対談です!

その模様は次の記事にてご紹介しています。ぜひそちらもご覧ください。

「通訳現場見学」レポート

  • 2018.04.03 Tuesday
  • 15:42

サイマル・アカデミー東京校では、在籍生のみなさんに実際の通訳案件を知って日々の学習に活かしていただくことを目的に、通訳現場見学の機会を提供しています。

 

「プレス・ブリーフィングの逐次通訳現場」ということで、2018年3月29日に外国人記者向けに行われたプレス・ブリーフィングの様子をアカデミースタッフが見学してきました。

(協力:公益社団法人フォーリンプレスセンター様)

 

会場の様子down

 

このプレス・ブリーフィングは各国の外国人記者を対象に、毎回さまざまなテーマで行われています。

 

今回は「東京2020オリンピック・パラリンピックに向けて」というテーマで、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会事務総長の武藤敏郎さんのお話。先月平昌オリンピック・パラリンピックが閉幕し、いよいよ次の大会としてバトンが引き継がれた「東京2020」がテーマということもあり、70名ほどの席がほぼ満席になる盛況ぶりでした。

 

東京2020の大会概要に始まり、現在の準備状況や取り組み、つい先日発表された大会ボランティアの話などの説明のあと、外国人記者から寄せられるさまざまな質問をスピーカーの横に座った通訳者が通訳していきます。今回の逐次通訳を担当したのは、サイマル専属通訳者の長井鞠子さんでした。

 

 


▼見学したスタッフの声▼

 

◎通訳現場で求められることを肌で感じることができる!

高い通訳スキルはもちろん、通訳者としての姿勢やその場の対応力(臨機応変さ)も、通訳者には求められることを目の当たりにしました。

 

◎高い通訳スキルのうえに「聞きやすさ」が求められることを身をもって体験!

ハッキリとした声や、聞きやすいテンポで通訳することは、通訳を聞いている側に安心感をもってもらうことができるのだと感じました。

 

◎どの国の英語訛りにも対応できなればいけない!

質問する記者たちはドイツ、シンガポール、フランスなど、見事に全員異なる国出身。どの訛りでも確実に聞き取り、訳すことができるスキルが必要なのだと感じました。

 

◎数字は間違えられない!

大会規模が大きいだけに、予算や経費、ボランティアの人数などの話では、万〜億単位の数字が飛び交っており、瞬時にさまざまな単位の数字を訳す能力の大切さを目の当たりにしました。

 

◎抑揚と表情でも伝える!

質問タイムでは、スピーカーから場を和ませるような発言も。通訳者は雰囲気を察し、語調を和らげたり、笑顔を見せたりしながら訳していました。単に言葉を訳すだけではない通訳の奥深さを発見しました。

 

◎アカデミーの授業内容は、現場で活躍する通訳者が実際にやっていることそのままだということを実感!

単語テストやひとつひとつの通訳訓練など日々の学習は、実はどれも現場で求められることを身につける訓練だというのを改めて感じました。

 

◎なにより、やはり第一線で活躍されている様子は刺激的!

今回は東京2020大会の内容でしたが、「通訳現場の臨場感」は、なによりの学びの場だと思いました。

 


 

通訳現場の空気感、緊張感を体験できる今回の機会は、普段サイマル・アカデミーで学んでいることが現場につながる内容だと実感していただけるチャンスになると思います。在籍生はコースを問わずご参加いただけますので、ご興味のある方はぜひ今後参加してみてください!

 

なお、会見の様子は公益社団法人フォーリンプレスセンターのホームページでもご覧いただけます!

http://fpcj.jp/worldnews/briefings/p=63489/

 

////////////////////////////////////////////////////////////////

嬉しい在籍生限定女

通訳現場見学 参加のご案内

 

サイマル・アカデミー在籍生を対象に、

今回ご紹介したような通訳現場見学を実施しています。

 

ご案内は校内掲示板に都度掲示していますので、

参加をご希望の方はサイマル・アカデミー受付でお申し込みください。

////////////////////////////////////////////////////////////////

 

アフタヌーン・セミナー第30回 HAVING FUN WITH WORDS

  • 2018.03.07 Wednesday
  • 13:18

アフタヌーン・セミナーとは、サイマル・アカデミー受講生特典として実施している無料セミナーで、 “学んだ語学を活かす”ためのセミナーです。
 

趣味や芸術、旅行などをテーマにしたネイティブ講師によるスピーチや、通訳者・翻訳者によるスピーチが行われます。
スケジュールのご都合でアフタヌーン・セミナー当日参加できなかった受講生の皆様に、また、サイマル・アカデミーでのご受講をご検討いただいている皆様にも、担当講師より当日スピーチした内容やお伝えしきれなかった事などをご紹介します。

 

今回の記事は・・・
2018
年2月7日に実施したKatrina Larsenによるアフタヌーン・セミナーです。
ワードゲームを通して楽しみながら英語を学ぶ方法を紹介してくれました女

 


HAVING FUN WITH WORDS

 

For many years I would watch my sister complete cryptic crosswords and be totally in awe of how she could make sense of such seemingly indecipherable clues to get answers that made perfect sense to her.  When she would crack one she would say something like “of course!” or “that’s it!”.

What on earth was she doing? Or, more to the point, how on earth did she DO it? I was clueless (pardon the pun).

 

So, last year, after so many years of watching her successfully tackle these pesky crosswords, I finally asked her to show me how to do them. I was instantly hooked.  I couldn’t get enough of them.  She then bought me some books with advice on how to complete them and with actual crosswords to try.  Life hasn’t been the same since!

 

I have found since starting them I have learnt so much, not only in terms of vocabulary but actual knowledge.  Having to find answers to the clues forces you to look into things you normally wouldn’t.  And, when you crack a clue, it feels SO good!

 

I was keen to talk about cryptic crosswords in my recent afternoon seminar but soon realised it would be rather too challenging, especially in the time frame I had and the cultural references that would require understanding to really enjoy doing so.  However, my fascination with words was still enough of a prompt to explore the theme of “Having Fun With Words”.

 

Playing with words is a fun way to build your vocabulary.  Exploring the origins of words and phrases (look up the possible origin of the word “posh” for example), considering the different permutations words can take (palindromes are fun for this…you know, the old “Madam I’m Adam” or “taco cat”), and word games are all fun ways to explore words.

 

And, on a final note, speaking of origins or words and phrases, The Bard (if you are not sure who that is please do a quick Google check!), widely considered the greatest writer in the English language, coined many words and phrases that we commonly use today.  Some such phrases are “it’s Greek to me” (Julius Caesar), meaning that you don’t know or understand something, “all that glitters isn’t gold” (Merchant of Venice), meaning that something that may look splendid isn’t necessarily so, “a laughing stock” (The Merry Wives of Windsor), meaning to be considered a joke by many people and “in a pickle” (The Tempest), meaning to be in trouble or in a situation that you cannot easily extricate yourself from.

 

Isn’t it fun to play around with words and phrases?  By doing so, you will expand your knowledge, enrich your vocabulary and sound more and more like a native speaker!

 

Katrina Larsen

I really enjoy playing with words and in the last year have really gotten into cryptic crosswords.  This has helped expand both my vocabulary and knowledge and helped me to see words somewhat differently.  I hope this session helps you do the same.

「英語ネイティブ翻訳者が教えるメディカル・ライティングセミナー」参加者の声

  • 2017.12.11 Monday
  • 16:49

11/11(土)大阪、11/19(日)東京で、「英語ネイティブ翻訳者が教えるメディカル・ライティングセミナー」を実施しました。

 

【第1部】  講師:野口ジュディー

「論文の書き方―コーパスやウェブツールを利用して」

 

【第2部】  講師:Lee Seaman

「Global English for Medical Writing: Building the Methods and Results Sections From Clinical Study Data」

 

>セミナーの概要はこちら

 

医薬系文書を理解し、効率的・効果的に書くためのアプローチやツールについて紹介した今回のセミナー。第1部では野口ジュディー先生が「コーパスを駆使した医薬系ライティングのコツ」、第2部ではLee Seaman先生が「治験総括報告書(CSR)を教材とした、誰にでもわかりやすい英文ライティングのコツ」についてお話しいただきました女女

 

 

 

当日参加いただいた方の声をご紹介しますひらめき

 

聞き耳を立てる参加者の声見る


・コーパスはとても興味深く参考になる。論文の書き方の手順がわかりやすくまとまっていた。相手に通じる論文が大事だと気付いた。

・有用なWebサイトの紹介があり、論文の書き方の流れが非常によくわかった

・講師お二人とも内容が濃かったし、学ぶものが多かった。ジュディー先生は多くの例を挙げ、多くのサイトをおしみなく出してくださった。Lee先生は実際に訳す、訳例、ブラッシュアップがあり、実践的だった。

・講義と演習のバランスが取れていて大変わかりやすく、実践的な内容で仕事をする上でもすぐに活かせるもので参考になった。

・他の翻訳学校では教えてもらえなかった内容が多かったので大変満足です。

・仕事でCSRのReviewをすることがあるので、どのような観点で見るべきか参考になった

・コーパスは目からうろこでした。

・これまでに気になっていたトピックについて、様々な角度から確認、学習することができた。今後の学習はもちろん、実務においても応用可能な内容が多く、有り難かった。

・「優れたメディカル・ライティングとは」について、わかりやすく示していただけた。

・日英の具体的な(方法、注意すべきところ)が紹介され、またPracticeの時間もあり勉強になったし、自主学習のヒントになった

・実際のライティングにセミナー内で取り組んでみて、先生の例と異なり、自分の文章が改めて長くて分かりにくいことに気がづいた。

・これまでコーパスを使っていなかったことを大変後悔しました。

・自分自身は製薬会社で今後文章作成をしていく予定ですが、今日学んだ「分かりやすい/伝わりやすい訳し方」はイコール「分かりやすい(日本語)資料の作り方」と「訳しやすい(日本語)資料の作り方」になると思いました。

・これまでGoogle Scholarでひとつずつ調べていた共起表現などをコーパスによって効率的に学べると感じました。

・査読者や読者に訴えかける文にするには、どのような英文を構成すれば良いかなど、メディカル・ライティングのコツが少しつかめました。

 

 

ご参加いただきました皆様、ありがとうございました!!

同時通訳現場見学ツアーレポート

  • 2017.12.05 Tuesday
  • 18:47

サイマル・インターナショナル関西営業部は、20171030日、立命館大学衣笠キャンパスで行われた、立命館大学・韓国外国語大学共催 国際シンポジウム「北朝鮮の核開発をめぐる国際関係と政策的オルタナティブ -6か国協議の経験から-の同時通訳現場見学ツアーを実施、サイマル・アカデミー受講生6名が参加しました!

 

今回は関西ではなかなか扱われる機会の少ない難しい国際時事のテーマで、関西のトップ通訳者3名の同時通訳を間近で聞くことができる大変貴重な機会となりました。聴講者は学生から一般の方まで数百名にのぼり、日本人だけではなく海外の方も多く、非常に関心度のいシンポジウムでした。

 

事前説明


シンポジウム開始前、実際の簡易ブースを前に、同時通訳システムのことから通訳者の打ち合わせのことまで、通訳の一つの案件にまつわるありとあらゆることについて、担当から皆様にご説明させていただきました。アカデミーの中では体験できない、現場の臨場感を肌で感じていただけたかと思います。皆さんとても熱心にお話を聞かれいます。

 

  ↓簡易ブース、表から見るとこんな感じです! 

易ブース、表からはこんな感じ

←同時通訳簡易ブース横には、音声の機材がずらっと並んでいます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

聞き耳を立てる参加者の声ー事前説明を終えてー見る

●想像していたよりはるかに多いエンジニアの方々がいらっしゃってびっくりしました。一つのセミナーに通訳関連だけでこれだけの人数がかかわっていることを実感できたのは初めてでした。音響の仕組みや赤外線の使用など、最新の設備に関するご説明も興味深く伺いました。

 

●貴重な経験をありがとうございます。サイマル担当者や音声技術の方々がきめ細かく支えてくださっている様子がわかりました。実際の機材や会場の様子、集合・打合せ・終了後の流れなど、現場の雰囲気を体感できて勉強になりました。

 

本番


参加者はその後、レシーバーを受取ってシンポジウムを聴講し、実際の同時通訳を聞いていかれました。今回は全て英→日同時。各スピーカーのスピーチに加え質疑応答もありました。内容もさることながら、英語ネイティブではない方も多いため、個性豊かな英語も多く聞かれました。何がきても動じず冷静に訳を続ける、プロの通訳者のお仕事を間近で見ることができました。

 

聞き耳を立てる参加者の声ーシンポジウムを終えてー見る

●すばらしい通訳に感嘆したのと同時に、自分の今いる場所を痛感させられました。

●特殊な専門分野の通訳を、遅れず適切に訳出されていること、そのパフォーマンスが会議全体を通して落ちないこと、長時間でも安定して聴きやすい発話など、まだまだ自分の勉強の道のりは長いと感じました。

●「どんなことがあっても動じない、それがAクラスです」という、信頼に満ちたご担当者の言葉が印象的でした。今回の企画では、通訳の入り口に立つ者に、目指すべき頂点を見せてくださったわけで、今後の勉強の仕方について考える素晴らしい機会となりました。

●交代はスムーズで、アイコンタクトを取り合っている様子が見えました。ブース越しに講演者をしっかり見ておられ、スピーカーの口調と息の合った通訳が聞き手の耳に優しいと感じました。

●自分であれば、詰まってしまったり、遅れたりすることは避けられないところが十数秒おきにあるなあという感想です。カバレッジを上げること、不明な箇所を聞いた通りに訳出して遅れずに乗り切ること(その他たくさん)を、今後のアウトプットの目標にしたいと思います。
 

女担当スタッフの声男

説明を熱心に聞かれる皆さんの姿勢が、とても印象的でした。生の現場を見聞することで、目指すゴールのイメージ化と更なる学習意欲の向上に繋がれば幸いです。ツアーにご参加いただいた方が、将来「プロ通訳者」の立場として現場でご一緒できる機会が来るのを、楽しみにしています。

 

●普段アカデミーでは、受講生ご自身のパフォーマンスに向き合いながら訓練を行っています。今回はプロの会議通訳者、しかも関西のトップクラスの方の生の通訳を聞く、大変貴重な機会となりました。それぞれが新たに目標や課題を見つけたり、モチベーションを上げる良い機会となったと思いますので、また気持ち新たに今後の訓練に励んでいただければと思います。

 

今回参加できなかった方も、また次の機会に是非ご参加ください!

 




 

2017年8月26日(土)開催 『通訳者への道』アフターレポート

  • 2017.11.27 Monday
  • 17:48

2017年8月26日(土)に開催された、「通訳者への道」のアフターレポートをご紹介します。

登壇したのは、サイマル・インターナショナル専属通訳者兼サイマル・アカデミー通訳者養成コース講師の、池内尚郎さんです。「国際理解のファシリテーターをめざして」という副題のもと、実際の通訳現場の様子や、同時通訳をする上で大切なことについてお話くださいました。


池内 尚郎

上智大学外国語学部ロシア語学科で学ぶ。国際交流や国際政策に関わる仕事を経て、サイマル・アカデミーで学び会議通訳者に。政治・経済・文化・科学技術など、幅広い分野で活躍。現在は通訳者養成コースで会議通訳クラスを担当。

 

 

 

|実際の通訳現場


同時通訳*は専用のブースの中で行いますが、その環境は案件によって異なります。ブースが広く窓が大きい恵まれた環境だったヨーロッパ、反対にブースが小さかったインド、なぜかマイクや通訳機材を置く台が高いため、椅子を重ねて座らざるを得なかった中東、ブース自体がなく雑音を聞きながら通訳したスリランカなど、実際に出向かれた現場の写真を見せながら紹介していただきました。

 

中でも印象的だったのが、「Korean」「English」などのプレートが付いたブースが、ずらりと並ぶ一枚の写真。多言語の通訳が必要な現場では、言語毎に分かれたブースがいくつも設けられます。ひとつの発言がその場でさまざまな言語に通訳される現場を想像すると、不思議な感じがしました。

 

 

このように、ブース内で仕事をすることから見ても、通訳者は「目に見えず、聞こえるだけ」「裏方、黒子」と言われがちですが、通訳者こそ「国際理解のファシリテーターとしての自負を持って仕事ができる」職業だと池内先生は言います。そのエピソードとして、ある国連本部での仕事終わりに、日本代表団の方々が集まって記念写真を撮っている姿を収めた写真を紹介していただきました。「代表団の方々に、会議をやりきったと思ってもらえるような通訳ができたという達成感があった」と写真を撮った時のことを振り返られ、通訳者という仕事の醍醐味を見せていただいた瞬間でした。

 

* 話し手の発言を聞くのと同時に訳していく通訳のこと。通訳には同時通訳の他にも、ある程度発言がまとまった後に訳す「逐次通訳」や、通訳者が聞き手の耳元に囁きながら同時通訳をする「ウィスパリング」という形式があります。通訳の種類について詳しく知りたい方はこちらから。

 

|「単語ではなく意味を訳す」


通訳において重要なことは、「単語ではなく意味を訳す」ことだそうです。特に話者の発言にかぶせるようにして訳す「同時通訳」は、「分からない単語が出てきた時、意味を考える瞬間にはもう話が進んでしまう」というほど速いテンポで訳します。そのため、単語に気を取られず、話の内容を理解し、その意味を訳すのに重点を置くことが鍵となるようです。実際、ひとつの単語が分からなかったとしても、広い意味で理解していれば訳が出てくることはよくあるとのことでした。

 

また、同時通訳をする際は「言葉を節約」することが秘訣だとか。すなわち、短い文章で訳すということです。言葉を別の言語に訳すと長くなってしまうのが一般的ですが、聞き手にとっては言葉が短い方が分かりやすい。「意味を訳す」だけでも難易度の高い作業ですが、「聞き手がどれだけ理解しやすい訳であるかが重要」だと、訳を聞く側の立場にも立って仕事をされている姿勢がとても印象的でした。

 

 

資料に通訳現場の写真やユニークな画像が多く使われていたこともあってか、参加者の方々は常にスクリーンに注目されていました。こちらで紹介したトピックの他にも、AIと通訳者の今後や、通訳者という職業の歴史についてもお話していただき、内容の濃い1.5時間となりました。最後は"If you don't know where you are going, any road will get you there."という言葉を、「どこに行くかは分からないが、どこかにはたどり着く」という解釈で示し、結果がどうであれ努力は必ず無駄にならないと、学習に迷いを感じている方々にエールを送って締めくくられました。

 

第1部の「翻訳者への道」同様、こちらも参加者の方々からたくさんの質問が上がりました。

 

ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!

 

参加者の声

・通訳者とはどういう仕事なのかをより深く理解することができた。

・通訳者の実際のお話を伺えたため、今後の学習に役立てられそう。

・とても楽しいお話だった。これから通訳者を目指すにあたって、

励みになる内容だった。

 

 

 

2017年8月26日(土)開催 『翻訳者への道』アフターレポート

  • 2017.11.01 Wednesday
  • 14:54

2017年8月26日(土)に開催された、「翻訳者への道」のアフターレポートをご紹介します。
講師は現役産業翻訳者兼、サイマル・アカデミー翻訳者養成コースのクラスを受け持つ沢田陽子先生。普段携わっている案件や、翻訳者に必要な技術、質の良い翻訳についてお話していただきました。

 


沢田 陽子

津田塾大学卒、英ロンドンメトロポリタン大学院応用翻訳学修士課程修了。

英系証券会社、米系コンサルティング会社などに勤務後、実務翻訳者に。

現在はサイマル・インターナショナルの英日翻訳、英日・日英翻訳の校閲に従事している。

 

 

|アカデミー時代と現在の翻訳案件


サイマル・アカデミー出身の沢田先生。外資系企業に勤務していた頃に翻訳を任されることで興味を持ち、契約書関係の通信講座を受けたことが、最初の翻訳学習経験だったそうです。その後、もっと広範囲なビジネス文書を訳せるようになりたいという思いから、産業翻訳コースに通学しました。

 

在籍当時、ひとつの文書をクラス内で分担して訳す課題が出たときのこと。「クラスメイトにメールで質問を投げかけると夜中でも返信が来て、他の人も頑張っているから自分も頑張ろうと思えた」と、今でも付き合いのある仲間達と切磋琢磨して学んだ学校生活を振り返りました。

 

沢田先生含め、通学制を選んで良かったことを伺うと、「クラスメイトとの関わり」と答える卒業生は多くいます。お互いプロになってから、アカデミー時代の思い出を振り返ったり、仕事の相談をしたりする存在ができることは、大きな財産ですね男

 

卒業してサイマル・インターナショナルにフリーランス翻訳者として登録後、携わっている案件は、官公庁学術機関国際機関金融機関などの業界で、文書は刊行物報告書プレスリリース社内会議資料契約書など。印象的だったのが、パワーポイント資料を翻訳(英日)するときの意外な苦労。一見訳す量が少なくて楽なのではと思えますが、説明なしで専門用語や社内用語が多く使われているため、枚数が少ない割に時間がかかる汗そうで、リアルな現場の声を聞くことができました。

 

|良質な翻訳のために


産業翻訳のもっとも重要な点は、「何が言いたいのかを伝える」こと。「完成した文書を読んだ時、全体の筋が通っていて、内容が理解できるもの」が良質な翻訳と言えるそうです。では、そのためにどのような能力を身につける必要があるでしょうか。

 

以下4つのことを挙げました。

 

■高い英語読解力 ■専門知識 ■リサーチ能力 ■日本語に対する意識

 

まず英語の読解力を磨く方法としては、声に出して読むこと。目から入る情報と耳から入る情報は異なるため、難しい文章に当たったときは、声に出すことで文と文の繋がりがよりクリアに見えてくるそうです。

 

そして、専門知識リサーチ能力。専門分野がなければ、それをリサーチで補います。学習方法としては、ビジネスニュースを聞き、日経新聞を読むなどして、常に幅広い分野にアンテナを張っておくこと。特に新聞は素人向けに書かれていて理解しやすいため、日経新聞を読むことから始めてみるのをお薦めしていました。

 

最後に、日本語に対する意識とは、言葉の選択や句読点の位置、論理的な文章になっているかどうかに意識を向けること。ここでいう「言葉の選択」とは、文書の背景に合わせて適切な日本語を当てはめることを指します。「上昇」「拡大」「増加」など、同じ意味でも複数の意味を持つ"increase"という単語の訳を例に説明していただきました。

 

単語や文法の正確な意味や、原文通りの順番に訳すことを重視する英文和訳と、文書の背景によって訳す単語の順番を変えたり、適切な意味を選択したりしながら、内容が伝わりやすいことを重視する翻訳の違いについてもお話がありましたが、機械的に訳すだけでは成立しない翻訳の奥深さに触れることができました。

 

 

翻訳者となった今でも「日々勉強」と仰っていた沢田先生。「翻訳者に向いていない人」として、「思いやりのない人」を挙げていましたが、「伝えたい、理解しやすいものを作りたいという思いが翻訳には必要」と仰っていた姿が印象に残りました。作業が終わっても何度も何度も立ち止まり、より良い訳を探究する精神が良質な翻訳へと結びつくのだそうです。

 

セミナーの最後には参加者の方々からいくつも質問が上がり、活気に満ちた良い回となりましたぴかぴか

 

ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。

 

 

聞き耳を立てる参加者の声見る

・翻訳で大切なポイントがわかった。

・プロとしての経験談が大変役に立った。

・翻訳の仕事内容、現状の説明が分かりやすかった。

 

 

calendar

S M T W T F S
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  
<< May 2018 >>

サイマルアカデミー ウェブサイト

Facebook更新中!

Facebook_2.jpg

サイマル翻訳ブログ

サイマル・インターナショナル翻訳部が翻訳にまつわる裏話やお役立ち情報を更新中です!ブログはこちらから

selected entries

categories

archives

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM