2019年3月3日開催 英語「通訳者への道」アフターレポート

  • 2019.04.22 Monday
  • 17:12

3月3日(日)に開催された「通訳者・翻訳者への道」。第3部は、サイマル・アカデミーを修了し、現在はサイマル・ビジネスコミュニケーションズ(SBC)からの派遣で、コンサルタント会社の社内通訳者として活躍中の藤原めぐみさんに、「社内通訳者のススメ」と題しお話いただきました。司会者からインタビューするかたちで、派遣部門で藤原さんを担当しているSBCの佐藤も同席し、お二人にお話を伺いましたので、ダイジェストでお届けします。

 

藤原めぐみ 


〇ふじわら・めぐみ 米国4年制大学を卒業後帰国。2015年サイマル・アカデミー修了。展示会で通訳活動。食品メーカーの社内通訳者として2年間勤務した後、フリーランスに転身。現在はコンサルタント会社にて社内通訳者として勤務中。

 

 

第3部 英語「通訳者への道」

 

 

司会 「通訳の学習をする中で、大変だった点は何ですか。どうやって克服されましたか?」

 

藤原さん 「私は楽観主義で、やればできると思っていましたが、進級がなかなかできない時期があったときが大変でした。そんなとき、この「通訳者への道」セミナーに参加し、百木先生(通訳者養成コース講師:百木弥生さん)の講演を聞いたんです。現在トップで活躍されている百木さんのような方でもスランプで成績が伸び悩んでいた時期があったと聞いて、頑張ろうと思いました。また、井戸先生(通訳者者養成コース講師:井戸恵美子さん)が担当されるインターネット講座「通訳者が教える英語力アップ講座 上級」を受講したことも、ブレイクスルーのきっかけになりました。

 

司会 「藤原さんは在学中から、通訳の仕事を始められましたが、学びながら仕事をする利点についてお聞かせください。」

 

藤原さん 「利点は、仕事で学ぶ英語がどんどん入ってくることです。例えば、会社の上層部の発言に対して現場が抵抗することを“pushback”と言います。このような表現は教室では学べないので、「生きた英語表現」が学べます。そして、現場で覚えた表現をアカデミーの授業で使うことで、自分に定着させることができると感じました。」

 

 

司会 「通訳学校に通って、専門訓練を受けて良かったことは何ですか?」

 

藤原さん 「自分の力に自信がついたことです。在学中に、初めて展示会の通訳をした時は通じているか不安でしたが、食品メーカーで通訳業務を始めて1年くらいたったころ、今まで呼ばれていなかった会議に呼ばれて上手にパフォーマンスできるようになり、成長を感じました。また、当時の同級生とは今でも交流し仕事の紹介などしてもらっており、通訳者の人脈ができることも魅力の一つです。」

 

SBC佐藤 「企業側は派遣スタッフに「専門訓練経験」を条件とすることが多いです。「英語ができる=通訳翻訳ができる」ではなく、留学経験や帰国子女であることも必須ではないです。訓練を受けている人と受けていない人の違いは、リスナーを意識してパフォーマンスをするかどうか。結局、経営トップや国際会議の通訳をできるところまで行けず頭打ちになるのは、訓練未経験の人です」

 

司会 「この講演のテーマでもある社内通訳を薦める理由は何ですか?」

 

藤原さん 「フリーランスは経験がないと雇ってもらえないですが、その意味で派遣は比較的ハードルが低く、仕事を得やすいです。社内通訳は、派遣か正社員としての勤務になるので、収入が安定するのはありがたいです。 組織に属しているので、一定の仕事量をこなせることから、スキルアップにも繋がります。また、自分が勤める業界について深く学べること、通訳のイロハを同僚、先輩から学べることが挙げられます」

 

SBC佐藤 「藤原さんのおっしゃるように、ひとつの企業で通訳をするとその企業の仕組がわかります。また、通訳パフォーマンスへのフィードバックが現場からすぐに得やすいのも、社内通訳をするメリットの一つです。そこで自身のスキルやパフォーマンスを客観視することができます。」

 

司会 「最後に、会場の皆さんにコメントをお願いします」

 

藤原さん 「好奇心を持ってチャレンジし、いろいろな知識を吸収してください。一歩踏み出す勇気も大切です。通訳デビューする機会を逃さず、話があればやってみること。初めて通訳業務を引き受けるには、自分のスキルへの自信が必要ですが、その自信は訓練を受けて、スキルを身に付けているからこそ生まれます。分野としては、IR通訳を経験することをお勧めします。投資家向けに企業の業績や事業計画を通訳するので、その企業、業界を深く知る必要がありますし、視野が広がります。あとは、目、耳、のどは商売道具なので大切にしてください。

 

***

 

通訳を学んでいく中で、スランプを乗り越え、着実に力をつけてきた藤原さん。現在の通訳者としての活躍は、たゆまぬチャレンジと努力に裏付けられているのだと実感しました。ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。

 

2019年3月3日開催 英語「翻訳者への道」アフターレポート

  • 2019.04.22 Monday
  • 09:48

3月3日(日)に実施されたセミナー「通訳者・翻訳者への道」。第2部の登壇者は、サイマル・アカデミーの講師を務める、英語翻訳者のPaul Warham先生。「直訳からの脱却 -AIに仕事を奪われない翻訳とは-」をテーマにお話していただきました。 

 

第2部 英語「翻訳者への道」


講師:Paul Warham


○ポール・ウォラム イギリス出身。『ドラえもん』に惹かれて日本語学習を始め、オックスフォード大学、ハーバード大学で日本文学を研究。英語の旅行ガイドブック記者、翻訳会社勤務を経て、現在はフリーランス日英翻訳者として実務翻訳から出版翻訳まで幅広く活躍。

 

 

機械翻訳のしくみ


冒頭、「以前は翻訳者というと周りは興味を示したが、最近は将来を心配されることが増えた」とウォラム先生。機械翻訳の普及とAI技術の発展により、今後人間による翻訳の仕事はなくなるのではないかと危惧される中、「機械翻訳と人間の翻訳は、そもそも訳し方が違う」ことを指摘しました。それを表す例文の一部を紹介します。

 

例文)ファッションもカルチャーも常に流行の先端をいく街、渋谷。

機械翻訳)Shibuya is a city where fashion and culture always go trendy.

 

一見問題なく訳されているように見えるかもしれません。しかし、実は二つほど問題が。一つは、”Shibuya is a city”というフレーズです。渋谷という地域は、例えば東京や大阪と同じ括りではなく、あくまで”part of city”であって、”city”という訳は誤り。機械翻訳でこのように訳された原因について「街」という単語を指し、「渋谷が正しくは”area”であることまでは考慮せず、データベースから合致する単語を拾い、そのまま置き換えている可能性がある」と推測しました。

 

二つ目は、”go trendy”という言い回し。ウォラム先生曰く、「”fashion”、”culture”、”trendy”の単語で英語ネイティブでも文章の内容を想像できる可能性はあるが、”go trendy”という英語は聞いたことがない」。これも「街」=”city”と訳されたプロセスと同様、「流行」=”trendy” 「いく」=”go”と直訳し、「それらを繋ぎ合わせたのでは」とのことです。

 

 

人間翻訳のしくみ


機械翻訳がいわば「言葉と言葉の置き換え」だとして、人間の翻訳はそれとどう違うのでしょうか。ウォラム先生はそれを、アメリカの日本文学翻訳者であるジェイ・ルービン氏の言葉“The aim of the translator should be not to translate the words but the meaning behind the words.”を引用し、「その文章の背景となるもの、すなわち筆者がその文章によって何を伝えようとしているのかを訳すこと」だと説明しました。

 

それを示すものとして、先ほど紹介した”Shibuya is a city〜”の人間翻訳の例を見てみましょう。

 

例文)ファッションもカルチャーも常に流行の先端をいく街、渋谷。

人間翻訳)Artistic shots of Shibuya's iconic crossing continue to feature on the pages of global fashion and travel magazines, and for good reason.

 

機械翻訳より文章が長いとまず感じると思いますが、それは「読者に文脈が伝わるよう説明が追加されているから」。そのために「読者を想像しながら訳されている」とし、「想定された読者は恐らく、これから日本に行く予定のある人で、まだ日本の知識が浅い人」とのこと。それが分かるのが、”iconic crossing”という表現です。日本に詳しくない人でも、渋谷のスクランブル交差点が渋谷の象徴的なものであるということが伝わるよう、"iconic"という表現で説明しているのです。

 

さらに、機械翻訳では意味の通じにくかった”go trendy”という言葉も、人間の翻訳では英語ネイティブも自然に読めるよう訳されています。

 

***

実際にいくつかの例文を見て、機械翻訳と人間翻訳の訳し方の違いに納得しました。現時点での機械翻訳は、正確性に欠ける部分や、不自然な表現によって混乱を招き兼ねない印象がある一方、読者を想定をした上でその文章の意図を訳す人間翻訳のきめ細やかさが一層印象に残りました。

 

 

ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!

2019年3月3日開催 中国語「翻訳者への道」アフターレポート

  • 2019.04.02 Tuesday
  • 17:14

3月3日(日)に実施されたセミナー「通訳者・翻訳者への道」。第1部の登壇者は、サイマル・アカデミーの講師を務める、中国語翻訳者の眦塚技卆萓検「プロ翻訳者に求められる力」をテーマにお話していただきました。

 

講師:眦塚技


○たかだ・ゆうこ 大学卒業後、商社勤務を経て、中国語通訳・翻訳業に従事。サイマル・アカデミー中国語翻訳者養成コースコーディネーター。桜美林大学非常勤講師、法政大学兼任講師を務める一方、実務翻訳者の後進指導・育成に注力している。


 

訳文を検証する力


翻訳は一人で作業するものだからこそ、自身の訳文を客観的に見て推敲や検証する力が不可欠です。そのためには、なぜその訳文になったのか、どのようなプロセスで訳したのか、根拠は明らかか、を記憶しておくことが望ましいとのこと。精度の高い翻訳をするためには、厳しい目を養っていくことが重要なのだと感じました。

 

さらに、翻訳に求められる力として、実務翻訳の原則についても言及されました。常用漢字や文末処理統一など、多くは常識的なことでも、知っているのと知っていないのとは大違い。知らないと翻訳者としては失格だそうです…!基本的なことだからこそ押さえておきたいですね。

 

他に、ビジネスマナーについても触れられました。翻訳者は専門的な職業のため、ビジネスマナーはそれほど重要ではなさそう、とイメージする方もいるかもしれませんが、特にフリーランスとして働くうえでは基本中の基本。まずはメールの文面やスムーズな連絡の取り方で信頼を得るというほど重要なのだそうです。

 

 

翻訳の訓練を受ける意義


サイマル・アカデミーで講師をしている眦沈萓検3惺擦破殘の訓練を受ける意義について、以下のことを挙げられました。

 

・的確なフィードバックを得られる

・具体的なスキル指導を受けられる

・多様な表現を知ることができる

・講師及び受講者間の情報交換ができる

 

特に、第三者から訳文のフィードバックを受けることは、上達への大きな鍵です。以前受講生から、「モチベーションの向上と緊張感を得るために翻訳の仕事を引き受けているが、フィードバックがない」という話を聞いたとき、先生は、まだ学びの途中である学習者がフィードバックを得られない翻訳をしても上達には繋がらないとして、学習に専念するようアドバイスしたのだそうです。学習よりも経験を積むことがプロへの近道と思われがちですが、通学中はプロから指導を受けられるという特権を活かし、学習に集中する方が自身のためになるのだな、と納得しました。

 

来場者アンケートでは、「具体的に必要なスキルが分かった」「経験に基づいた実用的なアドバイスが聞けた」、など好評をいただきました。当日お越しいただいたみなさま、ありがとうございました!

 

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参加者の方々にいただいた質問と眦沈萓犬硫鹽をいくつかご紹介します。

 

Q:通訳者・翻訳者に共通する資質と自己研鑽について教えてください。

A:共通するのは「丈夫な体と柔軟な心」。どんな仕事にも共通しますが、健康であること、健康管理ができることは非常に大切です。フリーランスは、どこへ行っても周りは「他人ばかり」、精神的にキツイことも多々ありますが、そのような環境の中で仕事をし続けるには柔軟な心が必要だと思います。自己研鑽は必須条件。どんなことにも好奇心を持ち、知識を得ることに楽しみを見つけることができれば、頑張り続けられます。

 

Q:自分の能力をアピールするにはどうすれば良いですか。

A:まず、自分の能力を把握できているか、です。客観的な評価を得た方が良いと思います。アピールする方法などという小手先のことを考えず、自分の現在の能力を見極め、どのような学習がどれくらい必要かを考え、仕事をしているのであれば、どのような仕事でも誠実に確実にこなし、他者の評価と信用を獲得することが大切かと思います。

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FPCJ プレス・ブリーフィング見学レポート(2017年11月30日実施)

  • 2019.03.19 Tuesday
  • 12:31

サイマル・アカデミーでは、在籍生を対象に「FPCJ プレス・ブリーフィング」見学のご案内をしています。


「FPCJ」とは、「公益財団法人フォーリン・プレス・センター・ジャパン」のことで、日本に駐在している海外メディアの方を対象に、現在の日本の重要なテーマについて説明するプレス・ブリーフィングを行っています。

 

見学は通常、FPCJ扶助会員および大使館員に限定されていますが、サイマル・インターナショナルの通訳者が担当する会見については、アカデミー受講生の見学もさせていただけることになっています。

今回は、スタッフが見学をさせていただきましたので、その様子をレポートいたします♪

 

* * *

今回のテーマは「空き家対策の現状と課題」についてです。

難しいテーマですが、所有者不明の空き家がそのままになっていたり、建て替えや取り壊しにもお金がかかるため、そのまま放置されている空き家が増えていると聞いたことがあります。受付で資料を受け取り、さっそく会場へ。

海外メディア向けということで、やはり海外の方がほとんどのようですが、日本人の方もいらっしゃいました。30〜40名くらい集まっていたかと思います。今回は、日本語スピーカーなので、日英の逐次通訳が入ります。

 

時間になり、スピーカーの富士通総研 経済研究所 主席研究員 米山秀隆氏が登場しました。
そして、本日の通訳者、長井鞠子先生も一緒に登場です!実は、通訳者が誰なのかはこの時まで分からなかったのですが、長井先生が現れてびっくり! 

 

長井先生と言えば、サイマルの顧問であり、サミットやオリンピック招致等、重要案件も数多く担当している、現在の日本でもトップ通訳者と言われる一人です。NHK「プロフェッショナル〜仕事の流儀〜」などのTV番組や雑誌で紹介されたり、講演会なども行っているので、ご存知の方も多いかもしれませんね。

 

実は社員の私も、普段はなかなかお会いすることができないため、とてもラッキーだったと思います。「こんな目の前で直接、長井先生の通訳を聞けるとはーーー!」心の中で、一人でテンション上がってました(笑) 


さて、長井先生の通訳はと言うと、さすがに分かりやすく簡潔な通訳で、とても聞きやすかったです。スピーカーの話を聞きながら「うんうん」とうなずき、言葉を確認しているように見えました。
また、事前資料がしっかり出されていたようで、メモを取るというよりは、資料にマルをつけたり、線を引いたりしているように見受けられましたので、おそらく数字やキーワードとなる単語だけを資料の上でチェックし、 文章自体はほとんどリテンションされていたのではないでしょうか。

                    

また、スピーカーの言葉をそのまま訳すのではなく、補足したり、言い直したりすることで、とても分かりやすく説明されていました。
例えば、「水まわり」という一言でまとめられた日本語は、「kitchen, toilet, bathroom area」と具体的な場所を示していましたし、また、「善光寺」という地名が出てきたときには、「famous temple, very popular for the tourists」と、なじみのない外国人にも分かるように言葉を添えていました。


また、「MYROOM」という企業名が出てきたのですが、このときは、「the name of the company」と説明を加えていました。
確かに、普通に聞いていたら、「なぜここで“私の部屋”?」となってしまいますよね。そういう細かいところにも気をつけて通訳しているのですね。通訳が単に直訳ではなく、「しっかりと意味を考えて、メッセージを伝えることが重要」と言われている所以を実感しました。さすがです!! 

 

QAセッションでは、

「相続で空き家を所有した人が、居住もせず、取り壊しもせず、何もしないのはなぜなのか?」

「日本にはもったいない精神があり、物を大切にする文化があるのに、なぜ家は数十年単位で建て替えるのか?」

「中古での売買をもっと活用すればいいのでは?」等、

海外の方ならではの視点による質問が多くありました。

 

私も聞いていて、なるほど、と納得したのですが、日本特有の文化や考え方についても、理解を深めることが、通訳をする際にも役立つのだと思いました。

 

通訳者は誰になるかは当日まで分かりませんが、サイマルのトップ通訳者が実際に目の前で通訳するのを見ることのできる、貴重な機会です。今後も、随時募集をしておりますので、ご都合が合う日程がありましたら、ぜひご参加ください!
勉強にもなりますし、きっとモチベーションも上がると思いますよ♪

 

★当時の様子はFPCJのウェブサイトでもご覧いただけます。

2018年8月26日開催 英語「通訳者への道」アフターレポート

  • 2019.02.01 Friday
  • 11:10

8月26日(日)に開催された「通訳者・翻訳者への道」。第2部は、サイマル・アカデミーの講師も務める有田勇一郎さんをお迎えして「駆け出し通訳者としての喜びと課題」と題し、通訳の魅力や現場での課題についてお話いただきました。

 

第2部 「通訳者への道」

 

講師:有田 勇一郎 


ありた・ゆういちろう 小学校と高校の後半をアメリカで過ごす。米ジョージタウン大学卒。帰国後、外資系企業に20年勤務。2014年10月よりサイマル・アカデミーで通訳訓練を始め、2016年10月にフリーランス通訳者となる。現在、サイマル・アカデミーの「通訳準備」クラスを担当。

 

 

●50代で通訳者に転身


52歳で外資系企業のサラリーマンからフリーランス通訳者へ転職された有田さん。安定した生活から突如、それまでのポジションが無くなるという「リストラ」の憂き目に遭われたのです!急に職を失い今後のキャリアを模索していた中、得意の英語を活かした「通訳」の仕事に興味を持ち、サイマル・アカデミー通訳者養成コースに通学を始めました。

 

●サイマル・アカデミーでの学び


講師からは、現場での立ち振る舞い方や失敗談など、通訳スキル以外の事柄についても学んだという有田さん。クラスメイトとは、授業前に互いにリテンション(注)の練習をするなど交流を深め、それぞれが通訳デビューした今でも仕事の情報交換をしているそうです。このように、現場で役立つ実践力が身についたり、通訳者の仲間ができるのは、独学では得られない、学校に通うことのメリットではないでしょうか。

 

(注)リテンション:聞き取った情報を一定時間記憶し、聞いたとおりに繰り返す練習。語彙力・表現力の向上につながる。

 

●通訳の魅力は「世の中が広く見えてくる」こと


アカデミーを修了し、晴れてフリーの通訳者としてデビューされた有田さんですが、日々業務を続ける中で感じる、通訳の魅力についてお話くださいました。「その場でクライアントから感謝してもらえる」「組織に振り回されず自分の腕一本で勝負できる」「定年がない」などいくつか挙げられましたが、中でも印象に残ったのは「視野が広がり、世の中が広く見えてくる」という点です。

 

 

一つの業界で働いていたサラリーマン時代と異なり、通訳者は日々新しい業界、領域に関する案件に接します。そのため、準備のために常に勉強して、新しい知識を吸収していくことで、ご自身の視野が拡大し、日々成長しているのを感じるそうです。逆に見れば、通訳者はどれだけ語学が得意でも、多方面に興味・好奇心を持ち、学んでいくことを厭わない人でなければ向いていないと思いました。

 

●通訳者としての課題


まず健康管理について。万一体調不良で現場に行けなくなり案件に穴を上げてしまえば、クライアント、エージェントに迷惑をかけることになり、ひいては今後の仕事の依頼が無くなるということに繋がりかねません。その意味で、これまで以上に健康に気を遣うようになったそうです。

 

続けて、実際に通訳をしていて感じた点として、日本語と英語の言語構造や発想の違いによる訳出がいかに難しいかを、様々な例を挙げてお話くださいました。例えば「青信号」という日本語。これをそのまま「blue light」と訳しては通じません。正しくは「green light」ですね。どのような場面でも常に考えなくてはいけないのは「単語でなく、意味を訳す(=内容を伝える)」ことです。内容を聞いて、意味を理解して、頭の中で組み立て直してから訳す、この作業こそがプロの通訳者の腕の見せ所です。コミュニティの現場では機械翻訳やAIが力を発揮していますが、日本語と英語のニュアンスも踏まえて的確に訳出しなくてはいけない状況においては、生身の人間に敵わないのです。

 

●通訳者を目指す方へ有田さんからのメッセージ


英語が得意だからと言うだけでは通訳者の仕事は務まらず、学校に通って専門訓練を受けることが重要です。学校に通った上で、さらに日々練習を積み重ねることが大切です。毎日数分でもいいのでコツコツトとトレーニングを続けることが、通訳者としてのパフォーマンスを強化する方法だと思います。数年後、皆さんと通訳の仕事現場で再会できることを楽しみにしています。

 

 

駆け出し通訳者」として日々尽力されている有田さん。サラリーマン時代が長かったからこそ、その経験が現在のフリーランス通訳者としての仕事にも活かされているのかも知れません。多くの皆様、ご参加ありがとうございました。

 

2018年8月26日開催 英語「翻訳者への道」アフターレポート

  • 2019.02.01 Friday
  • 10:30

2018年8月26日(日)に開催した「通訳者への道 翻訳者への道」のアフターレポートをご紹介します。第1部は、サイマル・インターナショナルでインハウス(社内)翻訳者をされている杉山一樹さんの講演でした。タイトルは「人間翻訳の実務!一体どんな内容なのか気になるタイトルですよね。以下、講演の内容の一部をお伝えします。

 

第1部 英語 「翻訳者への道」


講師:杉山一樹


〇すぎやま・かずき 一橋大学経済学部卒業、上智大学大学院外国語学研究科修士課程卒業。東京銀行(現・三菱UFJ銀行)で資産運用業務、ドイツ銀行で証券保管業務、ステート・ストリート信託銀行で受託資産管理業務に従事。サイマル・アカデミー受講を経て実務翻訳者に転じた後、サイマル・インターナショナルのインハウス校閲・翻訳を担当。

 

 

★日本は珍訳大国!?


講演の冒頭では杉山さんから、公共の場所や日々のチェック(校閲)で遭遇した珍訳についてご紹介いただきました。例えば、体力作りのための「トレーニングセンター」の英訳が「training center」になっていたという例。一見するときちんと訳されているようですが、「training center」と訳すと意味は「会社の研修所」になってしまいます。この場合の正しい訳は「fitness center」です。

 

正しいように見えても実は全然違う意味になってしまう珍訳が、意外と身の回りに多くあります。翻訳は、単語を訳しただけでは本当の翻訳にはなりません。ただ単語を置き換えるのではなく、「著者の言いたいことを汲み取り、異なる言語で伝えること」が翻訳なのです。

 

 

★翻訳実務のキーポイント


日々チェッカーとして様々な訳文の校閲をされている杉山さん。難しい内容の文章に対し、訳文も難解になってしまっている例をよく見かけると言います。

難解な訳文は読み手にストレスを与えてしまうため、翻訳者は訳すだけではなく、読み手の立場になって訳文を考えることが大切。また、翻訳の作業を始める前に訳文の想定読者を確認し、訳文の文章の堅さや丁寧さを統一するなど、一見「当たり前」のことをきちんと確認することや、納品前にWordのスペルチェックや読み上げ機能を使用するなど、チェックに回す前に今一度自分の訳文の見直しをすることもとても大事です。

 

翻訳という仕事には、翻訳を始める前から納品をするまでの確認事項が多く存在します。翻訳はサービス業であるからこそ、こういった一つ一つのステップを踏み、訳文のクオリティを上げていくことが重要なのです。

 

 

講演を聞いて印象的だったのは、杉山さんが「翻訳は怖いものだ」とお話しされていたことです。チェッカーを担当していると「致命的な誤訳」に遭遇することもごく稀にあるそうで、誤訳に気づいて「お客様に訳文が届く前に気が付くことができて良かった!」と思うと同時に、「もし気が付けていなかったら、クライアントとの関係はどうなっていたのだろう…」とゾッとすると杉山さんは言います。翻訳は、翻訳者が訳しただけでは終わらず、チェッカーの校閲を経てはじめて納品されます。今回杉山さんのお話をお伺いし、チェッカーという役割の重みを改めて実感したセミナーとなりました。

 

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最後にQ&Aでいただいた翻訳の勉強に関する質問と、杉山さんの回答をいくつかご紹介します。

 

Q.翻訳者としてやっておくべき勉強法はありますか?

A.翻訳者として「これを勉強した方が良い」ということは特にないのですが、新聞を読むことをおすすめします。新聞のライターの方は日本語のプロなので、プロの文章から日本語を学べますし、日々新出する単語も学ぶことができます。実務翻訳に限らず、翻訳に携わる全ての方におすすめです。

 

Q.翻訳者になるために講座に参加するだけでは、勉強量が足りないと思いますが、自分でどのように勉強すればいいでしょうか?

A.例えばサイマル・アカデミーの場合、宿題がとても多く出ます。予習と復習が必要ですが、これだけでも膨大な作業量になります。平日にお仕事をされている方だと、土日のどちらかは、かかりきりになる量かもしれません。ですので授業に参加し、一生懸命予習・復習をすることで、十分な勉強量になると思いますよ。

 

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ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました!

 

 

サイマル修了生 森田さんの翻訳書が出版されました!

  • 2018.10.10 Wednesday
  • 16:41

サイマル・アカデミー翻訳者養成コース 出版翻訳を修了された森田和子さんの翻訳書「サノクス令夫人 コナン・ドイル・ストーリーズ2」が出版されました!

初めての単独本出版に際し、大変だったことや授業で役立ったことなどエピソードを教えてもらいました♪

 

 

〜〜森田さんからのメッセージ〜〜

 

シャーロック・ホームズシリーズで知られるコナン・ドイルは、他にも多くの著作があり、その中から「恐怖」にスポットを当てて選んだ短編集が、今回の作品です。現代風に言えばSFや超常現象、人間の心の奥底に潜む魔物などを描いた6編からなり、以前にも訳されたことのある復刻版です。
今から100年ほど前に書かれた作品のため、英文が古風で少々まわりくどく、読解にかなり苦労しました。また、若い読者にも抵抗なく読んでいただける現代的な日本語を使いながら、当時の雰囲気が出るような訳文を心掛けたのですが、なかなか難しかったです。
わたしはとりたてて英語が得意なわけでもなく、サイマルで翻訳の勉強を始めるまで英文の原書を1冊も読み通したことがなかったのですが、先生方の熱心なご指導とクラスの楽しい雰囲気に惹かれて、学習を続けることができました。中でも、事前に提出した課題を先生方が懇切丁寧に添削してくださり、誤訳の訂正はもちろん、生徒の訳を生かしつつより良い日本語に直してくださったのが、大変勉強になりました。また、主にインターネットを利用した様々なリサーチのテクニックを教えていただいたのも、とても役に立ちました。
本1冊を訳すといっても、翻訳そのものはクラスの課題の延長だと思いますが、大きく違うのは訳す量です。この作品は決して長くないとはいえ、課題で訳す分量よりはるかに多く、自分で決めたノルマを毎日きちんと訳していくのが大変だったというのが、正直な気持ちです。
今回、運よくこのような作品を訳す機会が与えられ、無事に訳し終えることができたのは、先生方に翻訳の「いろは」から教えていただき、同じ間違いを何度繰り返しても根気よくご指導くださったおかげです。この場を借りて、あらためてお礼申し上げます。

 

 

人間にとって最も恐ろしい存在は、人間自身にほかならない。
名探偵シャーロック・ホームズの生みの親、コナン・ドイル。

晩年に自ら編みなおした短編集『コナン・ ドイル・ストーリーズ』より、

恐怖を題材にした6短編を収録。
人間心理に通暁しているドイルの手にかかると、

恐怖小説は単なる恐~い物語ではすまなくなる。
 

 

 

森田和子

サノクス令夫人 コナン・ドイル・ストーリーズ2

柏艪舎


【プロフィール】
慶応義塾大学文学部独文学科卒業。銀行勤務、日本語学校講師を経て、翻訳の勉強を始める。
インターカレッジ札幌第5回翻訳コンクール、最優秀賞受賞。本書が初の単独翻訳出版。
2010年サイマル・アカデミー出版翻訳コースワークショップを修了。

通訳コース受講生特別セミナー「ここでしか聞けない!通訳の舞台裏」アフターレポート

  • 2018.08.28 Tuesday
  • 10:53

先日、井戸先生をスピーカーにお招きし、通訳コース受講生特別セミナー「ここでしか聞けない!通訳の舞台裏」を開催しました。
定員を上回るたくさんのお申込をいただき、ありがとうございました。抽選にもれてしまった方、ごめんなさい!
当日のセミナーの様子を少しご紹介します。

 

 

【通訳者になるまで】
井戸先生が大学生だった頃は、超氷河期と言われた時代で、就職がなかなか決まらなかったそうです。
もともと通訳者を目指していたというよりは「英語ができる」ということで、何か英語を生かせる仕事ができればいいな、と考え、アカデミーの門を叩いたのが始まり。
就職した会社は1年ほどで退職し、アカデミーに在籍しながら、知人の紹介で社内通訳のお仕事を始めたそうです。
在籍中には、長野オリンピックなどがあり、「この日空いてる人―?」という感じで、通訳現場のお仕事を体験する機会もあったそうです。
そして、アカデミーの修了オーディション

(※会議通訳兇僚の札謄好箸魯ーディション形式。講師だけでなく、アカデミースタッフ、サイマル・インターナショナル関連部門からの担当者がズラーッと並んだ前で同時通訳をします。かなりの緊張です!)
ちなみにこの時、井戸先生の修了オーディションの採点を担当したのは小松達也先生と長部三郎先生だったそうです。

 

今、振り返ってみると「サイマルを卒業した」という、いわゆる「サイマル・ブランド」は自信を持っていいところだとおっしゃいます。
サイマルは他社に比べ、たしかに評価が厳しいですが、それはクオリティを重視しているから。
基礎を大切にし、レベルに達していなければ進級はできません。
それは、業界でも知られているところであり、「サイマルで勉強した」と言うと、クライアントからの信頼も厚いそうです。

 

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一方で、通訳という仕事は世の中の動きに左右される職業です。
9.11やSARSなどの大きな事件があった時には仕事が減少。ですが、落ち着くとまた需要も増えてくるので、仕事がない時期にも腐らず自分の力を蓄え、ブラッシュアップしておくことが必要。
需要が再開したときに、商品としての自分を生かしてもらえるよう、努力を怠らないことが大事です。

 

 

【1週間のスケジュール】
さて、井戸先生と言えば、通訳者であり、アカデミー講師でもあり、さらにプライベートではお二人のお子様のお母さん。そのパワフルさには頭が下がりますが、同じ24時間しかないはずなのに、いったいどんな生活を送っていらっしゃるのか・・・と興味のある方も多いと思います。
今回は、ある1週間のスケジュールをご紹介いただきました。

 

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それによると、お仕事の合間を縫って、お子様の学校行事に参加したり、ご自分の健康維持のためにテニススクールに通っていたりすることが判明!
時間をうまく使って、お仕事の事前準備をしたり、アカデミーの授業の準備をしたり、家事をしたりしているんですね。
もちろん、それにはご家族の協力が不可欠。ココだけの話、ダンナ様の家事力が著しく向上したそうです(笑)。
ちなみにダンナ様も同じく通訳者であり、お仕事のスケジュールは早い者勝ちで入れていくそうです。
どちらかがお仕事、どちらかがお家でお子様の面倒を見る、というように分担しているそうです。

 

 

【こんなときどうする?】
事前質問でもあったのが、「アクセントのキツイスピーカーなど、聞き取れなかったらどうする?」という質問。
まずは、「自分が聞きづらい」ということは「他の人も聞きづらい」のだと割り切ること。
分からなかったら聞き直す
あいまいなまま進めると、クライアントの信用が下がってしまう危険があり、ちゃんと食い下がることが大事だそうです。
また、事前準備をしっかりしておくこと、背景知識を付けることで、話の内容を推測することができます。
あきらめて、他人事にしてしまうのがいちばんいけないのだそうです。
実際の現場では「だって分からなかったんだもん」では通用しません!

 

また、日頃からの健康管理が大事なのは言うまでもありませんが、どうしても病気になってしまったり、ご家庭の事情で、どうしても対応できないという場合は、エージェントに連絡して、ピンチヒッターを依頼することもあるそうです。
ただ、逆の場合、誰かがダウンして、急遽ピンチヒッターが必要になったときには、できるだけすすんで引き受けるようにしているとのこと。
これは、通訳者の方、皆さんそうだと思いますが、持ちつ持たれつですね。

 

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【準備のススメ】
事前資料を準備することはもちろんですが、実際にどんなふうに準備しているのか皆さん、興味津々!
単語を調べたり、背景知識をつけることはもちろんですが、井戸先生のオススメは、スクリプトがある場合、声に出して音読すること。
自分で発声してみて初めて、文章の切れ目に気づくことなどもあるそうです。
また、あせってたくさんメモを取るよりは、落ち着いて、しっかり音を聞くことで、全体像をつかむことができるのだとか。

 

 

【客観的な視点を持つ】
商品として自分が選ばれなかったとき、また現場でうまくできなかったときはショックですが、落ち込んでも仕方ありません。そして、言い訳しても意味がありません。
講師や先輩通訳者から指摘を受けた場合は、言い訳や泣き言は言わず、しっかり受け止めること。
言われるにはやはりそれなりの理由があるわけで、指摘を受けたというのは裏を返せば改善するチャンスです。
アカデミーでは通訳機Ν兇任牢霑知習などがありますので、まずはそれをしっかりやり、講師からのアドバイスには真摯に耳を傾けること。
そしてレベルが上がっていくにしたがって、弱点は自分自身で気づかなければいけないものとなっていきます。
常に自分で振り返り、反省し、改善する。それこそが上達のコツだということですね。

 

 

【最後に・・・】
出産・育児・介護など、いろいろな人生の節目に当たったとき、どうするかは自分の選択です。
家族第一はもちろんですが、もしタイミングをコントロールできるのであれば、自分のがんばり時を見極め、調節する方がいい場合もあります。
ただ、第一線を離れたとしても、戻る気があるのであれば、戻ることは可能。
その場合、エージェントとコンタクトを切らさないようにする、自分のアベイラビリティをアピールすることなどが大事だそうです。

今回は、国会図書館の案件で使用した事前資料やいつも持ち歩いている通訳機材なども披露してくださり、皆さん、興味深く見ていらっしゃいました。

 

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実際にご活躍されている井戸先生ならではの貴重なお話をお伺いすることができ、大成功のセミナーとなりました。
ご参加いただきました皆さんにもご満足いただけたようです。

今後も同様のセミナーを企画してまいりますので、お楽しみに!

 

★サイマル・アカデミー 通訳者養成コースについて

★井戸先生が講師を務める「通訳者が教える英語力アップ講座」はこちらから!

サイマル修了生 長田さんの翻訳書が出版されました!

  • 2018.07.31 Tuesday
  • 13:22

サイマル・アカデミー翻訳者養成コース産業英日、出版英日の受講生、長田 綾佳さんの翻訳本、

『藤本壮介 建築作品集』『名作モダン建築の解剖図鑑』が出版されました!!
初めての分野の翻訳にどのように取り組まれたか伺いましたJ

 

★★長田さんからメッセージ★☆

 

このたび、『藤本壮介 建築作品集』『名作モダン建築の解剖図鑑』の2冊を翻訳させていただきました。

『藤本壮介〜』は、国内外で大活躍中の建築家、藤本壮介氏のプロジェクトを写真や図面などで紹介する作品集です。

オーディションを経て、まずこちらの本の翻訳をさせていただきました。もともと建築に興味はありましたが、専門的な勉強をしたことも仕事で関わったこともなかったので、リサーチには相当時間をかけました。関連書や用語集を読み込み、見に行ける建物には実際に足を運びました。文字情報だけでなく写真や図なども参照して内容の裏を取りながら翻訳を進めました。感情表現などは少なくシンプルな文が多かったため、そういう意味では初めてのお仕事として本書の翻訳の機会をいただけたのはとても恵まれていたなと感じます。

『名作モダン建築〜』は、1950年以降の世界中の名作建築をイラストで解説している本です。『藤本壮介〜』の翻訳作業後にこちらのお仕事をいただきました。担当の編集者さんが1冊目とは別の方だったので、文体や言葉遣いのリクエストもまったく異なり、また違った難しさがありました。

サイマルの翻訳講座で学んだことの中で特に印象に残っているのは、自分の訳文を客観的に見ることの大切さです。見直しの期間を十分に取り、必ず一定期間訳文を寝かせてから再度読み直すよう先生方からアドバイスをいただきました。実際、自信満々で訳していた文章でも、時間を置いてから読むと誤訳や悪文が山ほど見つかり、愕然とすることが多々ありました。また、受講時に「文が冗長」と指摘を受けることも多かったので、無駄な要素を省いてシンプルな文を作るように心掛けました。

どちらの本も苦労しましたが、実物を手にしたときは感無量でした。学生の頃からの夢をかなえることができたのは、サイマルの先生方のご指導のおかげです。あらためて感謝いたします。講座受講生の方で建築にご興味がある方は、どこかで見かけたら手に取っていただけると幸いです。

 

藤本壮介 建築作品集

ナオミ・ポロック (著), 長田 綾佳 (翻訳)

藤本壮介氏の歩んできた道を紐解く、建築と藤本氏への著者の愛が溢れだす建築作品集!

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名作モダン建築の解剖図鑑 単行本

アントニー・ラッドフォード (著), セレン・モーコック (著),

アミット・スリヴァスタヴァ (著), 長田 綾佳 (翻訳)

世界の有名建築50作品を徹底図解!名作建築は、どのようにして生まれるのか。

1950 年代から現在までに建てられた、50 点に及ぶ世界中の現代建築の傑作を解剖する、野心あふれる1 冊。建築家、建築を学ぶ学生、すべての建築ファンにとって、未来へつながるヒントが詰まった必携書です。

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<長田さんプロフィール>
2015年にサイマル・アカデミーに入学し、翻訳者養成コース産業英日、出版英日を受講。

 

サイマル・アカデミー翻訳者養成コースについてはこちら!

 

 

2018年2月25日開催 英語「通訳者への道」アフターレポート

  • 2018.05.18 Friday
  • 13:52

2月25日(日)に行われた「通訳者・翻訳者への道」セミナー。第3部は、会議通訳者でありサイマル・アカデミーの講師も務める高畑美奈子先生が登壇されました。内容は、記憶に新しい平昌オリンピックでの通訳の仕事について。通訳者をめざす人にとっては関心の高い話題で、「オリンピックでの通訳に興味がある人パー」と呼び掛けると、参加者のうち約3分の1の手が挙がりました。ここでは当日の内容を一部紹介します。

 

第3部 英語「通訳者への道」

 

講師:高畑美奈子


○たかはた・みなこ 上智大学外国語学部英語学科卒業後、TBSに就職。報道および情報番組の記者として、外信部やNY支局勤務。退職後、サイマル・アカデミーを受講し卒業。現在フリーランスの通訳者。得意分野は外務省関連、労働関係、IR等。 

 

 

|「縁の下の力持ち」―オリンピックでの通訳の仕事について


オリンピックでの通訳の仕事というと、たとえば記者会見で有名選手の横について通訳をする姿を思い浮かべる人は多いのではないでしょうか。実際のところ、有名選手と仕事をする機会はほとんどないそうです。むしろそれ以外の大会準備や大会期間中の運営における通訳が多く、その部門はオリンピック全体で52種類にも及びます。たとえば、宿泊、放送サービス、交通、エネルギー、開閉会式、ドーピング検査、会場・インフラなど。通訳者はまさに競技の裏側を支える「縁の下の力持ち」といえます。

その各部門にて、会議(逐次通訳*/同時通訳*)や視察(ウィスパリング*/逐次通訳)、記者会見、レセプション、オブザーバープログラムなどの通訳を行います。今回の平昌オリンピックの期間中、高畑先生は現地でそのオブザーバープログラムの通訳に携わっていました。オブザーバープログラムとは、国際オリンピック委員会(IOC)が将来のオリンピック開催国や候補地の担当者に、その年の開催国が準備・運営している様子を実際に見てもらうプログラムです。

 

平昌オリンピックでのオブザーバープログラムは何か国もの担当者が同席することもあり、たとえば最初に韓国語→英語に訳し、それを別の通訳者が英語→日本語に訳すという「リレー通訳」の手法が用いられたそうです。屋内・屋外を問わない現場で、屋外の場合は川が凍るほどの寒さ。上下とも十分に着込み、聴診器のような形の簡易型通訳機材を使用しながら現地で奮闘する通訳者の方々の姿がスライドに映されていました。

 


 

 


*通訳の種類。たとえば「逐次通訳」は、話者がある程度まとめて話したものを整理して後から訳すこと。それぞれの通訳の種類について知りたい方はこちらをご覧ください。(サイマル・アカデミー コンテンツ「SIMUL CAFE」に移ります)

 

 

|日々の積み重ね


オリンピックでは、組織委員会から組織の名前やオリンピック独特の用語を説明した、100ページ近くにも及ぶ単語帳が通訳者に共有されるそうです。スポーツを始め、交通、エネルギー、医療など、部門の数だけジャンルも多岐に渡ります。にも関わらず、「たとえば来週どの分野を担当するのか、日にちが近付くまで分からない」ことに加え、「実際、その単語帳を持って会議に出席したとしても、その場で使うことはなかなか難しい」。それはあんまりでは、と思ってしまいますが、それでも最大限の準備をし、万全の態勢で臨むプロの仕事を痛感しました。

 

↑セミナー後に公開された、数十枚にも及ぶ高畑先生お手製の単語帳。

たくさんの参加者の方々が見て行かれました。

 

オリンピックに限らず、特定の分野に特化しないフリーランスの通訳者として活躍されている高畑先生の仕事内容は、普段からさまざまです。そのために、「日々アンテナを張り、勉強し続けることが大切」という言葉には説得力がありました。今回のセミナーでも事前に参加者の方々から質問をいただきましたが、中でも多かったのが「通訳者になるための勉強のコツ」について。これに対し、「実際はコツも近道もなく、とにかく毎日の積み重ねが大事。たとえば通勤・通学のとき、朝起きてから15分、就寝前の10分など、自分の生活に合わせて毎日学習し、続けること。」と回答しました。さらに、たとえばCNNを毎日観るとして、リアルタイムで観られない場合はポッドキャストで聞くなど、現代のツールを駆使した学習方法についても紹介していただき、「自分の生活に合わせた学習」の具体的な方法についても理解が深まりました。

 

 

明日の仕事が今日の続きならいいが、色々な分野の仕事があるので、今日は明日の分の勉強をしておかなければならず、毎日勉強が続いて行く。今通訳者になるための勉強を毎日続けらなければ、通訳者になってから続けることは難しい」。一見厳しい言葉のようですが、日々さまざまな仕事に携わり、オリンピックのような大舞台も影で支える姿を考えると、それほどの覚悟と努力が不可欠であることが伝わりました。

 

通訳者になる前は記者の仕事をしていた高畑先生ですが、通訳者になった今、仕事の醍醐味は「社会で起きていることと仕事が直結していること」と、「一方的に伝えるのではなく、言葉のキャッチボールの中に自分が介入していること」だそうです。通訳者になる前・なった後の厳しさと、国際社会における言語のかけ橋として活躍するやりがいを教えていただきました。

 

 

ご参加いただいた皆様、ありがとうございました嬉しい

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