【通訳者養成コース】卒業生セミナーアフターレポート

  • 2019.08.21 Wednesday
  • 11:05

サイマル・アカデミーでは、現在通訳者として活躍されている卒業生を招く「卒業生セミナー」を実施しています。

今回は、先日行われた通訳者養成コースの卒業生セミナーの様子を一部抜粋してご紹介します。

 

野間口蓮海さん

大学卒業後、社内で通訳・翻訳に携わる。サイマル・アカデミーインターネット講座受講を経て、2015年秋サイマル・アカデミーに入学。通訳気ら受講開始。

修了時のオーディションでは大変優秀な成績を修め、サイマル・インターナショナルの専属通訳推薦を得る。現在はコンサルティングファーム企業で社内通訳として活躍中。

 

 

 

──野間口さんが通訳者を目指すようになったきっかけは何でしょうか。

きっかけは三つあります。一つは元々社内翻訳をしていたんですが、通訳もやってほしいと会社から頼まれたこと。通訳訓練を受けたことが無かったので、文字通り一言も訳せず打ちのめされたこともありました。会社の先輩に相談したところ、サイマルのインターネット講座を紹介されて興味を持ったのが始まりです。

二つめは、アカデミーのクラス内で講師が同時通訳のデモンストレーションを見せてくれた時です。初めて実際のスピーチ音声を使って演習をしている時でした。自分は逐次通訳でも大変苦労していたのに、どんな情報も落とさず漏らさず正確に通訳されている姿を見て、かっこいいな、自分もこんな風に通訳ができるようになりたい、と強く思うようになりました。

三つめは、社内で通訳の実務経験を積むうちに、自分の通訳によって双方が円滑にコミュニケーションできていると実感できた時です。

 

──現在のお仕事についてお聞かせください。

外資系のコンサルタントファーム会社にインハウスの通訳者として勤務しています。初めにメーカーのM&A関連のプロジェクトに携わりました。日本語でも知らない用語が多く、専門用語や知識を一から勉強しました。今はメーカーの社内改革を担当しています。医療系のメーカーなので知らないことも多く、とにかく日々勉強です。

一日の流れは客先でミーティング、その後社内で翻訳をしたり通訳の準備をしたりしています。通訳はウィスパリングかパナガイドを使った同時通訳がほとんどです。

事前準備は、ミーティングの前には資料を必ずいただいています。日英両方の場合もあるし、英語のみの場合もあります。単語はもちろん、訳語を調べておきます。また訳語だけでなくその言葉が何を意味しているのかを調べます。あとはカタカナ英語など、訳しづらい単語をどう訳すか予め考えておいて、スムーズに訳せるようにしていますね。

 

──通訳者として日々トレーニングしていることはありますか。

毎日必ずやっていることは音読。私は海外経験がないので、自分の弱みは英語だと思っています。だから毎日どんなに忙しくてもやる。これはアカデミーに通っていたころから続けています。

それから英語のインプット。リーディングとリスニング。あとは通訳訓練。最近は主に同通の練習ですね。Podcastやネット動画を使うこともあるし、アカデミー時代の音源は今でも使っています。時間がある時はシャドーイングやリプロダクション、文法も。やることは無限にありますよね。

通訳練習は、IRの練習をしています。会社によってはホームページ上でIR音源を公開しているので、練習用によく使っています。中には同時通訳の音源がある場合もあるので、通訳者がどう訳すのか勉強になります。あとはFPCJの動画も通訳者がいるので、よく使っていますね。

 

──サイマル・アカデミー通学時代にはどのように勉強されましたか。

アカデミーの授業と実際の業務が中心でした。私は英語を話す機会があまりなかったので、最初の頃は授業で言葉も出てこないし、文法もめちゃくちゃでした。ただ、常に間違えた理由を考えながら復習をしていました。理解していなかったから間違えたのか、それとも自分の癖なのか。どうしたらより正確な、より分かりやすい英語を話せるようになるのか。

授業で「こんなの訳せない」と思うことがあるかと思いますが、私はそういった自分の快適なラインを超えた難易度に挑戦することで、少しずつ力がついていった気がします。

会社では週一で電話会議の逐次通訳をしていました。アカデミーに通っていた当初は業務では手も足も出なかったです。電話会議なので音声も悪い。自分が変な英語を話すと向こうも聞き返してくる。それを繰り返しながら、どう訳したら相手に伝わるのか考えていました。

 

──通訳クラス、それぞれのレベル毎にやっていたことはなんですか。

授業の予習復習がメインですね。通訳気筬兇任呂箸砲く基礎訓練。自分のパフォーマンス録音を聞いて、一人でもう一度やってみて、できるようになったかを確認していました。ボキャブラリ強化にも力を入れていて、単語リストや時事クイズに加えて、それに関連する語句なんかもも調べてました。あと数字は毎日やってましたね。数字は慣れるしかないし、普段練習していないとパッと出てこない。ここでしっかりやっておくことで、後々楽になりました。特に同通では、数字が出てこなくて止まってしまうと、その後の情報も落としてしまう。

通訳掘↓犬任睛十復習がメインなのは同じ。実際の音声を使用した生教材になると、自分のアラが目立つようになりました。情報がごっそり抜けていたり、正確に訳せていなかったり。ここでも常にその原因を考えるようにしていました。聞き取れなかったのか、間に合わなかったのか、内容が複雑で理解できなかったのか。

 

──事前アンケートによりますと、リテンションに苦戦している方が多いようです。

リテンション、しんどいですよね。でもとても大切。私は、サイマル・アカデミーでリテンションを取り入れてるのは、メモ取りをする前にリテンションの力をしっかりつけるべきだからだと理解しています。通訳コースでも最初の頃はメモなしで通訳演習をしますが、メモ取りに入るとメモを取ることに気を取られてしまう。これは通訳訓練を受けている誰もが陥ってしまいがちな罠だと思います。リテンションがしっかりしてればメモはあくまで補助なんです。

リテンションの訓練については、自分が使わないような表現や構文を自分の口から出す、という経験がとても大切だと思います。それによって自分の使える言葉が広がっていく。私もリテンションは苦手だったので、自分の持っている言葉でしか話せない、という問題が発生していたんです。

 

──メモ取りはどう工夫されていますか。

使っている記号は授業で配られたリストがほとんどです。普段の業務の中でこれがあったら便利だな、と思うものがあれば自分で作ったりもしましたね。(実際にホワイトボードに書いて説明)話者の気持ちが伝わるので、個人的には絵文字の表現が結構好きです。

メモ取りに気を取られないようにすること、話を聞いて理解することが大事ですね。あくまでメモは記憶の補助だということを普段の訓練から意識すること。メモでなく記憶に頼ることが大切だと思います。

 

 

 

──辞めたい、と思ったことはありますか。

あります。最初の会社で、同僚に英語が堪能な方がいたんです。その方は帰国子女で、しっかり仕事をこなすプロ意識の高い方でした。意見をはっきり言う方で、「そんな稚拙な英語を使うんじゃない」と言われたこともありました。自分は海外経験もないし、アカデミーに通って努力しているのに全く追いつけない、ということが長い間続いたんです。心が折れそうになったことはありました。それを乗り越えた、というよりは、話を聞いてくれる人の存在や環境の変化のお陰で、どうにか気持ちを保つことができました。運がよかったのかもしれないですね。

ただ講師の同時通訳パフォーマンスに憧れて通訳者になりたい、と思った気持ちはずっと自分の中にあったし、それが無くなることはなかったです。自分の原点として、先生への憧れがあるのかもしれないです。

皆さんがもし通訳になる夢を諦めたい、と思う時に考えてみてほしいのは、自分が通訳者になりたいと思った原点と辞めたいと思った理由。両方を見て、どちらに進むべきか考えることが大切なんじゃないかと思います。

 

──帰国子女へのコンプレックスを感じていたんですね。

コンプレックスはずっとあります。無くならないです、たぶん。大学でも留学者がとても多かったので、その頃から海外経験がないというコンプレックスはずっと感じてました。英語を話すのが苦手という意識はずっとあって、だからこそそんな自分でも通訳者になれると思いたかったし、そう思ってやってきました。コンプレックスでもあり、私にとっては努力をする原動力でもあったんです。

もし自分に海外経験があったら、通訳者を目指してはいなかったと思います。海外経験の無い方が、そのことを引け目に感じる気持ちはわかります。でもその気持ちをポジティブな方向に活かしていければ、強みになるのかなと思っています。

 

──(セミナー参加者より質問)自分の成長が見えなくて不安な気持ちになったことはありますか。

アカデミー時代も、仕事をし始めてからもあります。自分は毎日自分のパフォーマンスを見ているから、なかなか成長を実感しづらいと思います。私はアカデミー入学時から修了まで、劇的に英語力が伸びたという自覚はなかったです。もちろん入学時と同じレベルで修了できるわけではないので、自分が自覚していないだけで英語力も伸びていたんだとは思います。

自分の努力を信じることと、短期的にできなかったことをできるようにする、という体験を積み重ねていくことが大切だと思います。例えば、自分のパフォーマンス録音を聞いて、もう一度通訳をやり直してみる。そこで最初にできていなかった部分ができるようになっているのか、なっていないのか。できなかったことをできるようにする。それの積み重ねが自分の自信に繋がるのでは。

 

── (セミナー参加者より質問) 「自分の言葉で語れるようにしなさい」と講師からよく言われるのですが。 

「自分の言葉で語れるように」と言われてしまうのは、もしかして訥々と訳を出しているのではないか、と推測します。通訳は、翻訳のように文字で覚えてそれを言葉で置き換えると、口先で訳しているような感じになってしまう。そうではなくて、スピーカーが言っていることを理解して、自分の中にある言葉で表現すること。文字ではなくて、メッセージを伝えられるように、自分の中にある英語で伝える。そういうことだと思います。

 

◆ サイマル・アカデミー通訳者養成コースについて

2019年3月3日開催 英語「通訳者への道」アフターレポート

  • 2019.04.22 Monday
  • 17:12

3月3日(日)に開催された「通訳者・翻訳者への道」。第3部は、サイマル・アカデミーを修了し、現在はサイマル・ビジネスコミュニケーションズ(SBC)からの派遣で、コンサルタント会社の社内通訳者として活躍中の藤原めぐみさんに、「社内通訳者のススメ」と題しお話いただきました。司会者からインタビューするかたちで、派遣部門で藤原さんを担当しているSBCの佐藤も同席し、お二人にお話を伺いましたので、ダイジェストでお届けします。

 

藤原めぐみ 


〇ふじわら・めぐみ 米国4年制大学を卒業後帰国。2015年サイマル・アカデミー修了。展示会で通訳活動。食品メーカーの社内通訳者として2年間勤務した後、フリーランスに転身。現在はコンサルタント会社にて社内通訳者として勤務中。

 

 

第3部 英語「通訳者への道」

 

 

司会 「通訳の学習をする中で、大変だった点は何ですか。どうやって克服されましたか?」

 

藤原さん 「私は楽観主義で、やればできると思っていましたが、進級がなかなかできない時期があったときが大変でした。そんなとき、この「通訳者への道」セミナーに参加し、百木先生(通訳者養成コース講師:百木弥生さん)の講演を聞いたんです。現在トップで活躍されている百木さんのような方でもスランプで成績が伸び悩んでいた時期があったと聞いて、頑張ろうと思いました。また、井戸先生(通訳者者養成コース講師:井戸恵美子さん)が担当されるインターネット講座「通訳者が教える英語力アップ講座 上級」を受講したことも、ブレイクスルーのきっかけになりました。

 

司会 「藤原さんは在学中から、通訳の仕事を始められましたが、学びながら仕事をする利点についてお聞かせください。」

 

藤原さん 「利点は、仕事で学ぶ英語がどんどん入ってくることです。例えば、会社の上層部の発言に対して現場が抵抗することを“pushback”と言います。このような表現は教室では学べないので、「生きた英語表現」が学べます。そして、現場で覚えた表現をアカデミーの授業で使うことで、自分に定着させることができると感じました。」

 

 

司会 「通訳学校に通って、専門訓練を受けて良かったことは何ですか?」

 

藤原さん 「自分の力に自信がついたことです。在学中に、初めて展示会の通訳をした時は通じているか不安でしたが、食品メーカーで通訳業務を始めて1年くらいたったころ、今まで呼ばれていなかった会議に呼ばれて上手にパフォーマンスできるようになり、成長を感じました。また、当時の同級生とは今でも交流し仕事の紹介などしてもらっており、通訳者の人脈ができることも魅力の一つです。」

 

SBC佐藤 「企業側は派遣スタッフに「専門訓練経験」を条件とすることが多いです。「英語ができる=通訳翻訳ができる」ではなく、留学経験や帰国子女であることも必須ではないです。訓練を受けている人と受けていない人の違いは、リスナーを意識してパフォーマンスをするかどうか。結局、経営トップや国際会議の通訳をできるところまで行けず頭打ちになるのは、訓練未経験の人です」

 

司会 「この講演のテーマでもある社内通訳を薦める理由は何ですか?」

 

藤原さん 「フリーランスは経験がないと雇ってもらえないですが、その意味で派遣は比較的ハードルが低く、仕事を得やすいです。社内通訳は、派遣か正社員としての勤務になるので、収入が安定するのはありがたいです。 組織に属しているので、一定の仕事量をこなせることから、スキルアップにも繋がります。また、自分が勤める業界について深く学べること、通訳のイロハを同僚、先輩から学べることが挙げられます」

 

SBC佐藤 「藤原さんのおっしゃるように、ひとつの企業で通訳をするとその企業の仕組がわかります。また、通訳パフォーマンスへのフィードバックが現場からすぐに得やすいのも、社内通訳をするメリットの一つです。そこで自身のスキルやパフォーマンスを客観視することができます。」

 

司会 「最後に、会場の皆さんにコメントをお願いします」

 

藤原さん 「好奇心を持ってチャレンジし、いろいろな知識を吸収してください。一歩踏み出す勇気も大切です。通訳デビューする機会を逃さず、話があればやってみること。初めて通訳業務を引き受けるには、自分のスキルへの自信が必要ですが、その自信は訓練を受けて、スキルを身に付けているからこそ生まれます。分野としては、IR通訳を経験することをお勧めします。投資家向けに企業の業績や事業計画を通訳するので、その企業、業界を深く知る必要がありますし、視野が広がります。あとは、目、耳、のどは商売道具なので大切にしてください。

 

***

 

通訳を学んでいく中で、スランプを乗り越え、着実に力をつけてきた藤原さん。現在の通訳者としての活躍は、たゆまぬチャレンジと努力に裏付けられているのだと実感しました。ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。

 

2019年3月3日開催 英語「翻訳者への道」アフターレポート

  • 2019.04.22 Monday
  • 09:48

3月3日(日)に実施されたセミナー「通訳者・翻訳者への道」。第2部の登壇者は、サイマル・アカデミーの講師を務める、英語翻訳者のPaul Warham先生。「直訳からの脱却 -AIに仕事を奪われない翻訳とは-」をテーマにお話していただきました。 

 

第2部 英語「翻訳者への道」


講師:Paul Warham


○ポール・ウォラム イギリス出身。『ドラえもん』に惹かれて日本語学習を始め、オックスフォード大学、ハーバード大学で日本文学を研究。英語の旅行ガイドブック記者、翻訳会社勤務を経て、現在はフリーランス日英翻訳者として実務翻訳から出版翻訳まで幅広く活躍。

 

 

機械翻訳のしくみ


冒頭、「以前は翻訳者というと周りは興味を示したが、最近は将来を心配されることが増えた」とウォラム先生。機械翻訳の普及とAI技術の発展により、今後人間による翻訳の仕事はなくなるのではないかと危惧される中、「機械翻訳と人間の翻訳は、そもそも訳し方が違う」ことを指摘しました。それを表す例文の一部を紹介します。

 

例文)ファッションもカルチャーも常に流行の先端をいく街、渋谷。

機械翻訳)Shibuya is a city where fashion and culture always go trendy.

 

一見問題なく訳されているように見えるかもしれません。しかし、実は二つほど問題が。一つは、”Shibuya is a city”というフレーズです。渋谷という地域は、例えば東京や大阪と同じ括りではなく、あくまで”part of city”であって、”city”という訳は誤り。機械翻訳でこのように訳された原因について「街」という単語を指し、「渋谷が正しくは”area”であることまでは考慮せず、データベースから合致する単語を拾い、そのまま置き換えている可能性がある」と推測しました。

 

二つ目は、”go trendy”という言い回し。ウォラム先生曰く、「”fashion”、”culture”、”trendy”の単語で英語ネイティブでも文章の内容を想像できる可能性はあるが、”go trendy”という英語は聞いたことがない」。これも「街」=”city”と訳されたプロセスと同様、「流行」=”trendy” 「いく」=”go”と直訳し、「それらを繋ぎ合わせたのでは」とのことです。

 

 

人間翻訳のしくみ


機械翻訳がいわば「言葉と言葉の置き換え」だとして、人間の翻訳はそれとどう違うのでしょうか。ウォラム先生はそれを、アメリカの日本文学翻訳者であるジェイ・ルービン氏の言葉“The aim of the translator should be not to translate the words but the meaning behind the words.”を引用し、「その文章の背景となるもの、すなわち筆者がその文章によって何を伝えようとしているのかを訳すこと」だと説明しました。

 

それを示すものとして、先ほど紹介した”Shibuya is a city〜”の人間翻訳の例を見てみましょう。

 

例文)ファッションもカルチャーも常に流行の先端をいく街、渋谷。

人間翻訳)Artistic shots of Shibuya's iconic crossing continue to feature on the pages of global fashion and travel magazines, and for good reason.

 

機械翻訳より文章が長いとまず感じると思いますが、それは「読者に文脈が伝わるよう説明が追加されているから」。そのために「読者を想像しながら訳されている」とし、「想定された読者は恐らく、これから日本に行く予定のある人で、まだ日本の知識が浅い人」とのこと。それが分かるのが、”iconic crossing”という表現です。日本に詳しくない人でも、渋谷のスクランブル交差点が渋谷の象徴的なものであるということが伝わるよう、"iconic"という表現で説明しているのです。

 

さらに、機械翻訳では意味の通じにくかった”go trendy”という言葉も、人間の翻訳では英語ネイティブも自然に読めるよう訳されています。

 

***

実際にいくつかの例文を見て、機械翻訳と人間翻訳の訳し方の違いに納得しました。現時点での機械翻訳は、正確性に欠ける部分や、不自然な表現によって混乱を招き兼ねない印象がある一方、読者を想定をした上でその文章の意図を訳す人間翻訳のきめ細やかさが一層印象に残りました。

 

 

ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!

2019年3月3日開催 中国語「翻訳者への道」アフターレポート

  • 2019.04.02 Tuesday
  • 17:14

3月3日(日)に実施されたセミナー「通訳者・翻訳者への道」。第1部の登壇者は、サイマル・アカデミーの講師を務める、中国語翻訳者の眦塚技卆萓検「プロ翻訳者に求められる力」をテーマにお話していただきました。

 

講師:眦塚技


○たかだ・ゆうこ 大学卒業後、商社勤務を経て、中国語通訳・翻訳業に従事。サイマル・アカデミー中国語翻訳者養成コースコーディネーター。桜美林大学非常勤講師、法政大学兼任講師を務める一方、実務翻訳者の後進指導・育成に注力している。


 

訳文を検証する力


翻訳は一人で作業するものだからこそ、自身の訳文を客観的に見て推敲や検証する力が不可欠です。そのためには、なぜその訳文になったのか、どのようなプロセスで訳したのか、根拠は明らかか、を記憶しておくことが望ましいとのこと。精度の高い翻訳をするためには、厳しい目を養っていくことが重要なのだと感じました。

 

さらに、翻訳に求められる力として、実務翻訳の原則についても言及されました。常用漢字や文末処理統一など、多くは常識的なことでも、知っているのと知っていないのとは大違い。知らないと翻訳者としては失格だそうです…!基本的なことだからこそ押さえておきたいですね。

 

他に、ビジネスマナーについても触れられました。翻訳者は専門的な職業のため、ビジネスマナーはそれほど重要ではなさそう、とイメージする方もいるかもしれませんが、特にフリーランスとして働くうえでは基本中の基本。まずはメールの文面やスムーズな連絡の取り方で信頼を得るというほど重要なのだそうです。

 

 

翻訳の訓練を受ける意義


サイマル・アカデミーで講師をしている眦沈萓検3惺擦破殘の訓練を受ける意義について、以下のことを挙げられました。

 

・的確なフィードバックを得られる

・具体的なスキル指導を受けられる

・多様な表現を知ることができる

・講師及び受講者間の情報交換ができる

 

特に、第三者から訳文のフィードバックを受けることは、上達への大きな鍵です。以前受講生から、「モチベーションの向上と緊張感を得るために翻訳の仕事を引き受けているが、フィードバックがない」という話を聞いたとき、先生は、まだ学びの途中である学習者がフィードバックを得られない翻訳をしても上達には繋がらないとして、学習に専念するようアドバイスしたのだそうです。学習よりも経験を積むことがプロへの近道と思われがちですが、通学中はプロから指導を受けられるという特権を活かし、学習に集中する方が自身のためになるのだな、と納得しました。

 

来場者アンケートでは、「具体的に必要なスキルが分かった」「経験に基づいた実用的なアドバイスが聞けた」、など好評をいただきました。当日お越しいただいたみなさま、ありがとうございました!

 

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参加者の方々にいただいた質問と眦沈萓犬硫鹽をいくつかご紹介します。

 

Q:通訳者・翻訳者に共通する資質と自己研鑽について教えてください。

A:共通するのは「丈夫な体と柔軟な心」。どんな仕事にも共通しますが、健康であること、健康管理ができることは非常に大切です。フリーランスは、どこへ行っても周りは「他人ばかり」、精神的にキツイことも多々ありますが、そのような環境の中で仕事をし続けるには柔軟な心が必要だと思います。自己研鑽は必須条件。どんなことにも好奇心を持ち、知識を得ることに楽しみを見つけることができれば、頑張り続けられます。

 

Q:自分の能力をアピールするにはどうすれば良いですか。

A:まず、自分の能力を把握できているか、です。客観的な評価を得た方が良いと思います。アピールする方法などという小手先のことを考えず、自分の現在の能力を見極め、どのような学習がどれくらい必要かを考え、仕事をしているのであれば、どのような仕事でも誠実に確実にこなし、他者の評価と信用を獲得することが大切かと思います。

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FPCJ プレス・ブリーフィング見学レポート(2017年11月30日実施)

  • 2019.03.19 Tuesday
  • 12:31

サイマル・アカデミーでは、在籍生を対象に「FPCJ プレス・ブリーフィング」見学のご案内をしています。


「FPCJ」とは、「公益財団法人フォーリン・プレス・センター・ジャパン」のことで、日本に駐在している海外メディアの方を対象に、現在の日本の重要なテーマについて説明するプレス・ブリーフィングを行っています。

 

見学は通常、FPCJ扶助会員および大使館員に限定されていますが、一部サイマル・アカデミー受講生は見学させていただけることになっています。今回は、スタッフが見学をさせていただきましたので、その様子をレポートいたします。

 

* * *

今回のテーマは「空き家対策の現状と課題」についてです。

 

難しいテーマですが、所有者不明の空き家がそのままになっていたり、建て替えや取り壊しにもお金がかかるため、そのまま放置されている空き家が増えていると聞いたことがあります。

海外メディア向けということで、海外の方がほとんどのようですが、日本の方もいらっしゃり、30〜40名くらい集まっていたかと思います。今回は、日本語スピーカーなので、日英の逐次通訳が入ります。

 

時間になり、スピーカーの富士通総研 経済研究所 主席研究員 米山秀隆氏が登場しました。
そして、本日の通訳者、長井鞠子さんも一緒に登場です!実は、通訳者が誰なのかはこの時まで分からなかったのですが、長井さんが現れてびっくりしました! 

 

長井さんと言えば、サイマルの顧問であり、サミットやオリンピック招致等、重要案件も数多く担当している、現在の日本でもトップ通訳者と言われる一人です。NHK「プロフェッショナル〜仕事の流儀〜」などのTV番組や雑誌で紹介されたり、講演会なども行っているので、ご存知の方も多いかと思います。

 

さて、長井さんの通訳はと言うと、さすがに分かりやすく簡潔な通訳で、とても聞きやすかったです。スピーカーの話を聞きながら「うんうん」とうなずき、言葉を確認しているように見えました。
また、事前資料がしっかり出されていたようで、メモを取るというよりは、資料にマルをつけたり、線を引いたりしているように見受けられましたので、おそらく数字やキーワードとなる単語だけを資料の上でチェックし、 文章自体はほとんどリテンションされていたのではないでしょうか。

                    

また、スピーカーの言葉をそのまま訳すのではなく、補足したり、言い直したりすることで、とても分かりやすく説明されていました。
例えば、「水まわり」という一言でまとめられた日本語は、「kitchen, toilet, bathroom area」と具体的な場所を示していましたし、また、「善光寺」という地名が出てきたときには、「famous temple, very popular for the tourists」と、なじみのない外国人にも分かるように言葉を添えていました。


また、「MYROOM」という企業名が出てきたのですが、このときは、「the name of the company」と説明を加えていました。
確かに、普通に聞いていたら、「なぜここで“私の部屋”?」となってしまいます。通訳が単に直訳ではなく、「しっかりと意味を考えて、メッセージを伝えることが重要」と言われている所以を実感しました。 

 

QAセッションでは、

「相続で空き家を所有した人が、居住もせず、取り壊しもせず、何もしないのはなぜなのか?」

「日本にはもったいない精神があり、物を大切にする文化があるのに、なぜ家は数十年単位で建て替えるのか?」

「中古での売買をもっと活用すればいいのでは?」等、

海外の方ならではの視点による質問が多くありました。

 

私も聞いていて、なるほど、と納得したのですが、日本特有の文化や考え方についても、理解を深めることが、通訳をする際にも役立つのだと思いました。

 

通訳者は誰になるかは当日まで分かりませんが、トップ通訳者が実際に目の前で通訳するのを見ることのできる、貴重な機会です。今後も、随時募集をしておりますので、ご都合が合う日程がありましたら、ぜひご参加ください!
勉強にもなりますし、きっとモチベーションも上がると思いますよ♪

 

★当時の様子はFPCJのウェブサイトでもご覧いただけます。

2018年8月26日開催 英語「通訳者への道」アフターレポート

  • 2019.02.01 Friday
  • 11:10

8月26日(日)に開催された「通訳者・翻訳者への道」。第2部は、サイマル・アカデミーの講師も務める有田勇一郎さんをお迎えして「駆け出し通訳者としての喜びと課題」と題し、通訳の魅力や現場での課題についてお話いただきました。

 

第2部 「通訳者への道」

 

講師:有田 勇一郎 


ありた・ゆういちろう 小学校と高校の後半をアメリカで過ごす。米ジョージタウン大学卒。帰国後、外資系企業に20年勤務。2014年10月よりサイマル・アカデミーで通訳訓練を始め、2016年10月にフリーランス通訳者となる。現在、サイマル・アカデミーの「通訳準備」クラスを担当。

 

 

●50代で通訳者に転身


52歳で外資系企業のサラリーマンからフリーランス通訳者へ転職された有田さん。安定した生活から突如、それまでのポジションが無くなるという「リストラ」の憂き目に遭われたのです!急に職を失い今後のキャリアを模索していた中、得意の英語を活かした「通訳」の仕事に興味を持ち、サイマル・アカデミー通訳者養成コースに通学を始めました。

 

●サイマル・アカデミーでの学び


講師からは、現場での立ち振る舞い方や失敗談など、通訳スキル以外の事柄についても学んだという有田さん。クラスメイトとは、授業前に互いにリテンション(注)の練習をするなど交流を深め、それぞれが通訳デビューした今でも仕事の情報交換をしているそうです。このように、現場で役立つ実践力が身についたり、通訳者の仲間ができるのは、独学では得られない、学校に通うことのメリットではないでしょうか。

 

(注)リテンション:聞き取った情報を一定時間記憶し、聞いたとおりに繰り返す練習。語彙力・表現力の向上につながる。

 

●通訳の魅力は「世の中が広く見えてくる」こと


アカデミーを修了し、晴れてフリーの通訳者としてデビューされた有田さんですが、日々業務を続ける中で感じる、通訳の魅力についてお話くださいました。「その場でクライアントから感謝してもらえる」「組織に振り回されず自分の腕一本で勝負できる」「定年がない」などいくつか挙げられましたが、中でも印象に残ったのは「視野が広がり、世の中が広く見えてくる」という点です。

 

 

一つの業界で働いていたサラリーマン時代と異なり、通訳者は日々新しい業界、領域に関する案件に接します。そのため、準備のために常に勉強して、新しい知識を吸収していくことで、ご自身の視野が拡大し、日々成長しているのを感じるそうです。逆に見れば、通訳者はどれだけ語学が得意でも、多方面に興味・好奇心を持ち、学んでいくことを厭わない人でなければ向いていないと思いました。

 

●通訳者としての課題


まず健康管理について。万一体調不良で現場に行けなくなり案件に穴を上げてしまえば、クライアント、エージェントに迷惑をかけることになり、ひいては今後の仕事の依頼が無くなるということに繋がりかねません。その意味で、これまで以上に健康に気を遣うようになったそうです。

 

続けて、実際に通訳をしていて感じた点として、日本語と英語の言語構造や発想の違いによる訳出がいかに難しいかを、様々な例を挙げてお話くださいました。例えば「青信号」という日本語。これをそのまま「blue light」と訳しては通じません。正しくは「green light」ですね。どのような場面でも常に考えなくてはいけないのは「単語でなく、意味を訳す(=内容を伝える)」ことです。内容を聞いて、意味を理解して、頭の中で組み立て直してから訳す、この作業こそがプロの通訳者の腕の見せ所です。コミュニティの現場では機械翻訳やAIが力を発揮していますが、日本語と英語のニュアンスも踏まえて的確に訳出しなくてはいけない状況においては、生身の人間に敵わないのです。

 

●通訳者を目指す方へ有田さんからのメッセージ


英語が得意だからと言うだけでは通訳者の仕事は務まらず、学校に通って専門訓練を受けることが重要です。学校に通った上で、さらに日々練習を積み重ねることが大切です。毎日数分でもいいのでコツコツトとトレーニングを続けることが、通訳者としてのパフォーマンスを強化する方法だと思います。数年後、皆さんと通訳の仕事現場で再会できることを楽しみにしています。

 

 

駆け出し通訳者」として日々尽力されている有田さん。サラリーマン時代が長かったからこそ、その経験が現在のフリーランス通訳者としての仕事にも活かされているのかも知れません。多くの皆様、ご参加ありがとうございました。

 

2018年8月26日開催 英語「翻訳者への道」アフターレポート

  • 2019.02.01 Friday
  • 10:30

2018年8月26日(日)に開催した「通訳者への道 翻訳者への道」のアフターレポートをご紹介します。第1部は、サイマル・インターナショナルでインハウス(社内)翻訳者をされている杉山一樹さんの講演でした。タイトルは「人間翻訳の実務!一体どんな内容なのか気になるタイトルですよね。以下、講演の内容の一部をお伝えします。

 

第1部 英語 「翻訳者への道」


講師:杉山一樹


〇すぎやま・かずき 一橋大学経済学部卒業、上智大学大学院外国語学研究科修士課程卒業。東京銀行(現・三菱UFJ銀行)で資産運用業務、ドイツ銀行で証券保管業務、ステート・ストリート信託銀行で受託資産管理業務に従事。サイマル・アカデミー受講を経て実務翻訳者に転じた後、サイマル・インターナショナルのインハウス校閲・翻訳を担当。

 

 

★日本は珍訳大国!?


講演の冒頭では杉山さんから、公共の場所や日々のチェック(校閲)で遭遇した珍訳についてご紹介いただきました。例えば、体力作りのための「トレーニングセンター」の英訳が「training center」になっていたという例。一見するときちんと訳されているようですが、「training center」と訳すと意味は「会社の研修所」になってしまいます。この場合の正しい訳は「fitness center」です。

 

正しいように見えても実は全然違う意味になってしまう珍訳が、意外と身の回りに多くあります。翻訳は、単語を訳しただけでは本当の翻訳にはなりません。ただ単語を置き換えるのではなく、「著者の言いたいことを汲み取り、異なる言語で伝えること」が翻訳なのです。

 

 

★翻訳実務のキーポイント


日々チェッカーとして様々な訳文の校閲をされている杉山さん。難しい内容の文章に対し、訳文も難解になってしまっている例をよく見かけると言います。

難解な訳文は読み手にストレスを与えてしまうため、翻訳者は訳すだけではなく、読み手の立場になって訳文を考えることが大切。また、翻訳の作業を始める前に訳文の想定読者を確認し、訳文の文章の堅さや丁寧さを統一するなど、一見「当たり前」のことをきちんと確認することや、納品前にWordのスペルチェックや読み上げ機能を使用するなど、チェックに回す前に今一度自分の訳文の見直しをすることもとても大事です。

 

翻訳という仕事には、翻訳を始める前から納品をするまでの確認事項が多く存在します。翻訳はサービス業であるからこそ、こういった一つ一つのステップを踏み、訳文のクオリティを上げていくことが重要なのです。

 

 

講演を聞いて印象的だったのは、杉山さんが「翻訳は怖いものだ」とお話しされていたことです。チェッカーを担当していると「致命的な誤訳」に遭遇することもごく稀にあるそうで、誤訳に気づいて「お客様に訳文が届く前に気が付くことができて良かった!」と思うと同時に、「もし気が付けていなかったら、クライアントとの関係はどうなっていたのだろう…」とゾッとすると杉山さんは言います。翻訳は、翻訳者が訳しただけでは終わらず、チェッカーの校閲を経てはじめて納品されます。今回杉山さんのお話をお伺いし、チェッカーという役割の重みを改めて実感したセミナーとなりました。

 

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最後にQ&Aでいただいた翻訳の勉強に関する質問と、杉山さんの回答をいくつかご紹介します。

 

Q.翻訳者としてやっておくべき勉強法はありますか?

A.翻訳者として「これを勉強した方が良い」ということは特にないのですが、新聞を読むことをおすすめします。新聞のライターの方は日本語のプロなので、プロの文章から日本語を学べますし、日々新出する単語も学ぶことができます。実務翻訳に限らず、翻訳に携わる全ての方におすすめです。

 

Q.翻訳者になるために講座に参加するだけでは、勉強量が足りないと思いますが、自分でどのように勉強すればいいでしょうか?

A.例えばサイマル・アカデミーの場合、宿題がとても多く出ます。予習と復習が必要ですが、これだけでも膨大な作業量になります。平日にお仕事をされている方だと、土日のどちらかは、かかりきりになる量かもしれません。ですので授業に参加し、一生懸命予習・復習をすることで、十分な勉強量になると思いますよ。

 

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ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました!

 

 

通訳コース受講生特別セミナー「ここでしか聞けない!通訳の舞台裏」アフターレポート

  • 2018.08.28 Tuesday
  • 10:53

先日、井戸先生をスピーカーにお招きし、通訳コース受講生特別セミナー「ここでしか聞けない!通訳の舞台裏」を開催しました。
定員を上回るたくさんのお申込をいただき、ありがとうございました。抽選にもれてしまった方、ごめんなさい!
当日のセミナーの様子を少しご紹介します。

 

 

【通訳者になるまで】
井戸先生が大学生だった頃は、超氷河期と言われた時代で、就職がなかなか決まらなかったそうです。
もともと通訳者を目指していたというよりは「英語ができる」ということで、何か英語を生かせる仕事ができればいいな、と考え、アカデミーの門を叩いたのが始まり。
就職した会社は1年ほどで退職し、アカデミーに在籍しながら、知人の紹介で社内通訳のお仕事を始めたそうです。
在籍中には、長野オリンピックなどがあり、「この日空いてる人―?」という感じで、通訳現場のお仕事を体験する機会もあったそうです。
そして、アカデミーの修了オーディション

(※会議通訳兇僚の札謄好箸魯ーディション形式。講師だけでなく、アカデミースタッフ、サイマル・インターナショナル関連部門からの担当者がズラーッと並んだ前で同時通訳をします。かなりの緊張です!)
ちなみにこの時、井戸先生の修了オーディションの採点を担当したのは小松達也先生と長部三郎先生だったそうです。

 

今、振り返ってみると「サイマルを卒業した」という、いわゆる「サイマル・ブランド」は自信を持っていいところだとおっしゃいます。
サイマルは他社に比べ、たしかに評価が厳しいですが、それはクオリティを重視しているから。
基礎を大切にし、レベルに達していなければ進級はできません。
それは、業界でも知られているところであり、「サイマルで勉強した」と言うと、クライアントからの信頼も厚いそうです。

 

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一方で、通訳という仕事は世の中の動きに左右される職業です。
9.11やSARSなどの大きな事件があった時には仕事が減少。ですが、落ち着くとまた需要も増えてくるので、仕事がない時期にも腐らず自分の力を蓄え、ブラッシュアップしておくことが必要。
需要が再開したときに、商品としての自分を生かしてもらえるよう、努力を怠らないことが大事です。

 

 

【1週間のスケジュール】
さて、井戸先生と言えば、通訳者であり、アカデミー講師でもあり、さらにプライベートではお二人のお子様のお母さん。そのパワフルさには頭が下がりますが、同じ24時間しかないはずなのに、いったいどんな生活を送っていらっしゃるのか・・・と興味のある方も多いと思います。
今回は、ある1週間のスケジュールをご紹介いただきました。

 

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それによると、お仕事の合間を縫って、お子様の学校行事に参加したり、ご自分の健康維持のためにテニススクールに通っていたりすることが判明!
時間をうまく使って、お仕事の事前準備をしたり、アカデミーの授業の準備をしたり、家事をしたりしているんですね。
もちろん、それにはご家族の協力が不可欠。ココだけの話、ダンナ様の家事力が著しく向上したそうです(笑)。
ちなみにダンナ様も同じく通訳者であり、お仕事のスケジュールは早い者勝ちで入れていくそうです。
どちらかがお仕事、どちらかがお家でお子様の面倒を見る、というように分担しているそうです。

 

 

【こんなときどうする?】
事前質問でもあったのが、「アクセントのキツイスピーカーなど、聞き取れなかったらどうする?」という質問。
まずは、「自分が聞きづらい」ということは「他の人も聞きづらい」のだと割り切ること。
分からなかったら聞き直す
あいまいなまま進めると、クライアントの信用が下がってしまう危険があり、ちゃんと食い下がることが大事だそうです。
また、事前準備をしっかりしておくこと、背景知識を付けることで、話の内容を推測することができます。
あきらめて、他人事にしてしまうのがいちばんいけないのだそうです。
実際の現場では「だって分からなかったんだもん」では通用しません!

 

また、日頃からの健康管理が大事なのは言うまでもありませんが、どうしても病気になってしまったり、ご家庭の事情で、どうしても対応できないという場合は、エージェントに連絡して、ピンチヒッターを依頼することもあるそうです。
ただ、逆の場合、誰かがダウンして、急遽ピンチヒッターが必要になったときには、できるだけすすんで引き受けるようにしているとのこと。
これは、通訳者の方、皆さんそうだと思いますが、持ちつ持たれつですね。

 

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【準備のススメ】
事前資料を準備することはもちろんですが、実際にどんなふうに準備しているのか皆さん、興味津々!
単語を調べたり、背景知識をつけることはもちろんですが、井戸先生のオススメは、スクリプトがある場合、声に出して音読すること。
自分で発声してみて初めて、文章の切れ目に気づくことなどもあるそうです。
また、あせってたくさんメモを取るよりは、落ち着いて、しっかり音を聞くことで、全体像をつかむことができるのだとか。

 

 

【客観的な視点を持つ】
商品として自分が選ばれなかったとき、また現場でうまくできなかったときはショックですが、落ち込んでも仕方ありません。そして、言い訳しても意味がありません。
講師や先輩通訳者から指摘を受けた場合は、言い訳や泣き言は言わず、しっかり受け止めること。
言われるにはやはりそれなりの理由があるわけで、指摘を受けたというのは裏を返せば改善するチャンスです。
アカデミーでは通訳機Ν兇任牢霑知習などがありますので、まずはそれをしっかりやり、講師からのアドバイスには真摯に耳を傾けること。
そしてレベルが上がっていくにしたがって、弱点は自分自身で気づかなければいけないものとなっていきます。
常に自分で振り返り、反省し、改善する。それこそが上達のコツだということですね。

 

 

【最後に・・・】
出産・育児・介護など、いろいろな人生の節目に当たったとき、どうするかは自分の選択です。
家族第一はもちろんですが、もしタイミングをコントロールできるのであれば、自分のがんばり時を見極め、調節する方がいい場合もあります。
ただ、第一線を離れたとしても、戻る気があるのであれば、戻ることは可能。
その場合、エージェントとコンタクトを切らさないようにする、自分のアベイラビリティをアピールすることなどが大事だそうです。

今回は、国会図書館の案件で使用した事前資料やいつも持ち歩いている通訳機材なども披露してくださり、皆さん、興味深く見ていらっしゃいました。

 

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実際にご活躍されている井戸先生ならではの貴重なお話をお伺いすることができ、大成功のセミナーとなりました。
ご参加いただきました皆さんにもご満足いただけたようです。

今後も同様のセミナーを企画してまいりますので、お楽しみに!

 

★サイマル・アカデミー 通訳者養成コースについて

★井戸先生が講師を務める「通訳者が教える英語力アップ講座」はこちらから!

2018年2月25日開催 英語「通訳者への道」アフターレポート

  • 2018.05.18 Friday
  • 13:52

2月25日(日)に行われた「通訳者・翻訳者への道」セミナー。第3部は、会議通訳者でありサイマル・アカデミーの講師も務める高畑美奈子先生が登壇されました。内容は、記憶に新しい平昌オリンピックでの通訳の仕事について。通訳者をめざす人にとっては関心の高い話題で、「オリンピックでの通訳に興味がある人パー」と呼び掛けると、参加者のうち約3分の1の手が挙がりました。ここでは当日の内容を一部紹介します。

 

第3部 英語「通訳者への道」

 

講師:高畑美奈子


○たかはた・みなこ 上智大学外国語学部英語学科卒業後、TBSに就職。報道および情報番組の記者として、外信部やNY支局勤務。退職後、サイマル・アカデミーを受講し卒業。現在フリーランスの通訳者。得意分野は外務省関連、労働関係、IR等。 

 

 

|「縁の下の力持ち」―オリンピックでの通訳の仕事について


オリンピックでの通訳の仕事というと、たとえば記者会見で有名選手の横について通訳をする姿を思い浮かべる人は多いのではないでしょうか。実際のところ、有名選手と仕事をする機会はほとんどないそうです。むしろそれ以外の大会準備や大会期間中の運営における通訳が多く、その部門はオリンピック全体で52種類にも及びます。たとえば、宿泊、放送サービス、交通、エネルギー、開閉会式、ドーピング検査、会場・インフラなど。通訳者はまさに競技の裏側を支える「縁の下の力持ち」といえます。

その各部門にて、会議(逐次通訳*/同時通訳*)や視察(ウィスパリング*/逐次通訳)、記者会見、レセプション、オブザーバープログラムなどの通訳を行います。今回の平昌オリンピックの期間中、高畑先生は現地でそのオブザーバープログラムの通訳に携わっていました。オブザーバープログラムとは、国際オリンピック委員会(IOC)が将来のオリンピック開催国や候補地の担当者に、その年の開催国が準備・運営している様子を実際に見てもらうプログラムです。

 

平昌オリンピックでのオブザーバープログラムは何か国もの担当者が同席することもあり、たとえば最初に韓国語→英語に訳し、それを別の通訳者が英語→日本語に訳すという「リレー通訳」の手法が用いられたそうです。屋内・屋外を問わない現場で、屋外の場合は川が凍るほどの寒さ。上下とも十分に着込み、聴診器のような形の簡易型通訳機材を使用しながら現地で奮闘する通訳者の方々の姿がスライドに映されていました。

 


 

 


*通訳の種類。たとえば「逐次通訳」は、話者がある程度まとめて話したものを整理して後から訳すこと。それぞれの通訳の種類について知りたい方はこちらをご覧ください。(サイマル・アカデミー コンテンツ「SIMUL CAFE」に移ります)

 

 

|日々の積み重ね


オリンピックでは、組織委員会から組織の名前やオリンピック独特の用語を説明した、100ページ近くにも及ぶ単語帳が通訳者に共有されるそうです。スポーツを始め、交通、エネルギー、医療など、部門の数だけジャンルも多岐に渡ります。にも関わらず、「たとえば来週どの分野を担当するのか、日にちが近付くまで分からない」ことに加え、「実際、その単語帳を持って会議に出席したとしても、その場で使うことはなかなか難しい」。それはあんまりでは、と思ってしまいますが、それでも最大限の準備をし、万全の態勢で臨むプロの仕事を痛感しました。

 

↑セミナー後に公開された、数十枚にも及ぶ高畑先生お手製の単語帳。

たくさんの参加者の方々が見て行かれました。

 

オリンピックに限らず、特定の分野に特化しないフリーランスの通訳者として活躍されている高畑先生の仕事内容は、普段からさまざまです。そのために、「日々アンテナを張り、勉強し続けることが大切」という言葉には説得力がありました。今回のセミナーでも事前に参加者の方々から質問をいただきましたが、中でも多かったのが「通訳者になるための勉強のコツ」について。これに対し、「実際はコツも近道もなく、とにかく毎日の積み重ねが大事。たとえば通勤・通学のとき、朝起きてから15分、就寝前の10分など、自分の生活に合わせて毎日学習し、続けること。」と回答しました。さらに、たとえばCNNを毎日観るとして、リアルタイムで観られない場合はポッドキャストで聞くなど、現代のツールを駆使した学習方法についても紹介していただき、「自分の生活に合わせた学習」の具体的な方法についても理解が深まりました。

 

 

明日の仕事が今日の続きならいいが、色々な分野の仕事があるので、今日は明日の分の勉強をしておかなければならず、毎日勉強が続いて行く。今通訳者になるための勉強を毎日続けらなければ、通訳者になってから続けることは難しい」。一見厳しい言葉のようですが、日々さまざまな仕事に携わり、オリンピックのような大舞台も影で支える姿を考えると、それほどの覚悟と努力が不可欠であることが伝わりました。

 

通訳者になる前は記者の仕事をしていた高畑先生ですが、通訳者になった今、仕事の醍醐味は「社会で起きていることと仕事が直結していること」と、「一方的に伝えるのではなく、言葉のキャッチボールの中に自分が介入していること」だそうです。通訳者になる前・なった後の厳しさと、国際社会における言語のかけ橋として活躍するやりがいを教えていただきました。

 

 

ご参加いただいた皆様、ありがとうございました嬉しい

2018年2月25日開催 中国語「翻訳者への道」アフターレポート

  • 2018.05.09 Wednesday
  • 12:10

2月25日(日)に開催された「通訳者・翻訳者への道」。第2部は、中国語翻訳者であり、サイマル・アカデミーの講師も務める眦塚技卆萓犬登壇されました。近年の中国語翻訳のマーケット事情や、学習する上で大切なこと等についてお話ししていただきました。

 

 

第2部 中国語「翻訳者への道」

 

講師:眦塚技


たかだ・ゆうこ 大学卒業後、商社勤務を経て、中国語通訳・翻訳業に従事。サイマル・アカデミー中国語翻訳者養成コースコーディネーター。桜美林大学非常勤講師、法政大学兼任講師を務める一方、実務翻訳者の後進指導・育成に注力している。

 

 

「好き嫌いなし」のスタンスが大切


来日中国人増加に伴い、ここ5年ほどはインバウンド対応が多いというお話から始まりました。ショッピングモールのパンフレットをはじめ、すでに来日したことがある「リピーター」観光客をターゲットにした、すし作り体験着物着付け体験などの日本語から中国語への翻訳で、そのジャンルは多岐に渡ります。

 

さらに、中国の市場に目を向けた企業からの依頼で、企業ホームページ契約書会社案内などの翻訳も多く見られます。また、中国語から日本語への翻訳では、中国(特に台湾)のオンラインゲームの翻訳が増加の傾向にあるそうです。

 

一方、従来から変わらないジャンルは、技術系の文書学術論文会議の資料講演原稿保険法律関係など。セミナーの第1部で、英語翻訳者は自分の強みである専門分野を身につけて仕事をしていくというお話がありましたが、中国語翻訳では比較的マーケットが小さいためか、「好き嫌いしていてはやっていけない」。どのジャンルにも対応できるようにするため、学習段階から「好奇心を持って様々な分野に挑戦する姿勢が大切」です。

 

 

学習を生活の一部にする


では、ジャンルを問わずに対応できる力は、どのように習得すればよいのでしょうか。学習する上で大切なことについて、次のことを挙げられました。

 

1)原文を速く正しく読む。

2)特に母語の語彙や表現を豊かにする。

3)時間を意識しながら学習する。

 

1)については「最も基本的で最も大切」なこと。締切がある仕事のため、限られた時間の中で高いクオリティの訳文を仕上げるには必要不可欠といえるでしょう。2)の具体的な学習方法は、「原文を漫然と読むのではなく分析しながら読む」。翻訳は「通訳と同じくらい語彙力が必要」というお話もありましたが、原文を読む段階から常に「どう訳すか」を意識することが重要なのだと感じました。そして3)については、実は「翻訳者になってからも活きる」こと。締切や訳す分量、ジャンルを見て引き受けられる仕事かどうか素早く判断するために、普段から時間を意識しながら学習することが大切だそうです。「引き受けるかどうかを判断するのは自分」という言葉から、自分の力量を把握していなければできない仕事だということが伝わりました。

 

ここで、眦沈萓犬桓身で毎日実践されている学習方法についても紹介していただきました。

まずニュースを母語である日本語で読み、その後、関連記事を中国語でも読みます。「面白い・知っておきたい」と思った記事をプリントアウトして、原文を見ながら声に出して訳していくという方法。

 

声に出して読む理由としては、「書くより速い」ことに加え、「声に出して訳すと訳せないところが明白になり、自分を誤魔化せない」から。原文を一読する時、内容について「「大体分かる」ことと「全部訳せる」ことは全く異なる」というお話がありましたが、声に出すことでその分からない部分が明らかになるそうです。

 

学習は、「普段の生活に組み込む」ことが重要とのこと。意識して「何曜日に何を何時間やる」と決めたりせず、食事や洗顔のように当たり前のことにするのがコツのようです。学習者の皆様もぜひ試してみてください!

 

セミナーの後半には、当日配布した課題を使用してミニレッスンを実施。参加者の皆様が真剣にメモを取る姿が印象的でした。ご参加いただきありがとうございました!

 


参加者の方々からいただいた質問と、それに対する眦沈萓犬らの回答をいくつかピックアップしてご紹介します見る

 

Q. 最近はインターネット上で安価に依頼できる翻訳の仕事があるため、わざわざ学校に行って勉強をしなくても自称翻訳者として仕事ができるのではと想像してしまいます。学校へ行って勉強した方が翻訳者として活躍するための近道になるのでしょうか。

 

A. 翻訳者には資格がないため、余計にそう感じてしまうのだと思います。スクールでは、どのような訳が求められ、評価されるかがすぐに分かるため、一定のレベルがあれば半年でもいいので通学することをおすすめします。また、同じ志を持った人が周りにいるということはとても心強いですし、励みにもなります。

 

Q. 中日翻訳の方が得意なのですが、中日に限定して仕事をすることは可能でしょうか。

A. 可能です。ただし、学習は中日と日中どちらもやっておく必要があります。翻訳者は翻訳だけでなくチェッカーの仕事もあり、中国語ネイティブが日本語に訳したものをチェックするのは日本人なので、そういう時に中国語の表現について判断ができないと困るからです。サイマル・アカデミーでもその状況を想定して、日本語ネイティブのクラスでは、日訳と中訳どちらも同じバランスで学習します。

 

たくさんのご質問をありがとうございました女

 

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